「ゼロコロナ」と「ウィズコロナ」の狭間でさまよう香港経済

 李家超氏が「唯一無二の候補者」と中国に指名(=次期行政長官に内定)されて以降、香港市民はますます政治に関心をもたなくなっている。いや、国安法施行以降、密告が奨励されるようになったので、あえて政治的なことは口にしない、関心をもたないといった不文律が社会に定着したと言えるだろう。粛々と日々の生活を過ごしていくか、そうした香港社会を見限って海外に移民していくか、香港社会はずいぶん変わったと筆者は感じている。

 そんな中でも多少明るいことと言えば、感染者が急増し、一時期は世界最悪の感染者死亡率に至った香港のコロナ拡散がかなり沈静化してきたことだ。4月下旬から1日の新規感染者数は300人前後まで減少し、それに伴い厳しい行動制限も徐々に解除されている。

 4月19日からは、夕方6時以降の飲食店での店内飲食禁止措置が解かれ、人数制限付きながらも午後10時まで店内飲食可能となった。5月5日からは閉鎖されていた水泳プールや公営ビーチが再開し、郊外の公園や屋外運動施設でのマスク着用義務が撤廃された。

 5月19日からは飲食店の営業時間が深夜12時まで延長され、1月第1週から営業禁止だったバーやカラオケ、サウナなども営業再開が予定されている。ワクチン接種者でないとスーパーやショッピングモールに入場できないワクチンパスポートと呼ばれる「ワクチン強制接種策」は維持しているものの、香港は実態として徐々に「ウィズコロナ」に転換している。

 しかし、中国では依然「ゼロコロナ政策」に固執しており、上海は既に1カ月以上にわたり市民生活も企業活動も完全停止したロックダウン状態にある。