バイデン大統領が、今後の政権運営を確実にするには中間選挙で勝利する必要がある。リベラルな政策を望まない米国民は一定数存在しているので、当初から中間選挙は厳しい見通しだったが、ここに来てさらにやっかいな問題が浮上している。それは予想外に進んだインフレである。

 これまでの米国経済は、物価は上がっていたものの、同じペースで経済も拡大しており、国内の消費は何とか維持されていた。ところがロシアによるウクライナ侵攻などが重なり、2022年3月の消費者物価指数が8%を超えるなど、物価上昇の弊害が大きくなりつつある。米国はクルマ社会なので、ガソリン価格の高騰が生活を圧迫する事態になった場合、政権にとって致命傷となりかねない。一方で、インフレを抑制するには、思い切って金利を引き上げる必要があり、景気にとっては逆風となる。

 バイデン大統領は5月10日、「家計がインフレに圧迫されていることを認識している」と述べ、インフレ対策を最優先する方針を明らかにした。同時にバイデン氏は「FRBがインフレ抑制に向けて責務を果たす」と発言するなど、金利の引き上げを容認する姿勢も示している。金利を引き上げつつ、景気失速を回避するには、供給面での制約をできるだけ排除しなければならない。そのひとつの柱とされているのが対中関税の引き下げである

結局、中国からの輸入は続いている

 先ほど説明したように対中関税の対象となっている輸入は3700億ドルに達する。2021年における中国からの輸入総額(サービスを含まない)は約5000億ドルなので、実に7割以上の品目が課税される計算である。