政府が輸入品に高い関税をかけた場合、仕入れを行っている企業は、(1)国内産に切り換える、(2)別の国からの輸入に切り換える、(3)関税を受け入れ高い価格で輸入する、という選択を迫られる。

 現時点において中国と同レベルの価格と生産量を実現できる国は存在しないので、(2)の選択肢は限定的だろう。米国内のコストは極めて高く、付加価値の高い一部製品を除けば、(1)についても選択しづらい。

 米国企業は、一部の商品について第三国からの輸入に切り換えたものの、大半の商品については、中国からの輸入を継続していると考えられる。原油価格の高騰を受けて全世界的にインフレが進んでいることに加え、関税の負担もあるので、企業の仕入れ価格が急上昇している。

 一部の中国企業はベトナムなど東南アジアを経由する形で、米国の関税を逃れているが、サプライチェーンが複雑になるため、こうしたやり方もコスト上昇要因であることに変わりはない。

 結果として米中対立は、米国企業の供給力低下をもたらしており、これは価格上昇要因となっている。関税を引き下げることができれば、供給制限の一部が解消されるので、当然、価格上昇は抑制される。インフレが最大の政治的・経済的課題となりつつある米国にとって、最も効果的な政策のひとつが対中関税の引き下げであることは明らかだ。