(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「中国人民解放軍は台湾攻略の作戦を、従来の海上からの大規模な上陸から、空・海の台湾封鎖へと転換した」――8月初め、米国の軍部関係者からこんな見解が明らかにされた。米国の他の専門家たちも、中国の台湾攻略方法の同様の変化を指摘している。

 中国軍が8月上旬に実施した台湾周辺の6カ所の区域での実弾使用の軍事演習は、すでに台湾に対する封鎖の形をとっている。台湾への実際の侵攻作戦が正面からの上陸の形をとらないとなれば、台湾有事の内容はきわめて複雑となる。

「Dデイ作戦」は行われない?

 米国の歴代大統領の軍事顧問を務め、戦略研究家としても知られるジャック・キーン米陸軍退役大将は8月4日、ワシントンの大手研究機関「ヘリテージ財団」が開いた「台湾の将来」というシンポジウムで注目される発言をした。

 基調講演者となったキーン大将は、まずナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問について次のようにバイデン政権の失態を指摘した。「バイデン大統領は失態を冒した。まずペロシ議長の訪問の前に大統領は『この訪問は米軍首脳も反対しており、よいタイミングではない』と述べたが、米軍首脳は反対などしていない」と述べたのだ。