(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国での大規模な不法入国者問題が、切迫した課題として一気に全米レベルで拡大した。バイデン政権の登場からこれまでに中南米から不法入国した者は約400万人とも目される。その一部が国境地域の共和党知事たちによって、首都ワシントンの副大統領公邸や、民主党エリートが集まるマサチュ―セッツ州の有名避暑地に突然運ばれてきたからだ。

 これまでこの問題を大きく報じなかった民主党寄りの大手メディアも大々的に報道した。その結果、以前からこの入国者の扱いでは支持率が低かった民主党バイデン大統領は守勢に立たされ、11月の中間選挙で民主党側に不利な影響が及ぶ展望も浮かんできた。

副大統領公邸前に突然現れた「不法移民」集団

 9月15日朝、首都ワシントンの閑静な中心部にあるハリス副大統領の公邸前に突然、大型バス2台が乗りつけ、降りてきた男女100人ほどの集団が門前に立ちふさがった。ふだんは人通りの少ない静かな一角であるため、この集団は大いに目立った。ちなみに副大統領公邸は私の自宅から近く、長年の通勤路にあたる。

 公邸前に出現したのは、ベネズエラ、コロンビア、ウルグアイといった中南米諸国から最近、正規の手続きを経ずに米国に入ってきた若者中心の不法入国者たちだった。