現時点では、まだ嘉手納基地からF-15の撤収が始まったわけでないが、すでにエルメンドルフ基地から嘉手納基地へF-22が配備され始めている。

嘉手納常駐のF-15後継戦力は?

 ただし、これまで嘉手納基地に常駐してきた48機のF-15の代わりにF-22が48機送り込まれるわけではない。そのように交代させてしまえばアラスカとハワイには戦闘機が存在しなくなってしまう。

 また、その他の地域の航空隊のF-22を嘉手納に回すわけにもいかない。なぜならば、ロシアに睨みを効かせるためにヨーロッパ方面の航空戦力を削ることはできない上に、そもそもメンテナンスコスト・運用コストが巨額に上るF-22戦闘機自体も大幅に削減されることになっているからである。

 それでは、沖縄から姿を消す48機のF-15戦闘機の後継戦力として嘉手納に常駐する機種はどうなるのか?

 耐用年数が迫り、すでに中国空軍の最新鋭戦闘機に比べれば旧式化しているF-15を退役させる方針は確定している。だが、ペンタゴン・空軍首脳は嘉手納常駐の後継戦力について明確な方針を打ち出していない。

明確なプランがない米空軍の戦力交代

 このようにロイド・オースティン国防長官をはじめとするペンタゴン首脳や空軍首脳は、戦闘機戦力の交代に関する明確なプランもなしに、嘉手納航空基地から48機もの戦闘機を退役させて十分ではない数のF-22を送り込み、それも常駐させるのではなく3〜6カ月交代で配備して、とりあえずの穴埋めだけをする、といった方針を示している。