(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国の習近平国家主席と米国のバイデン大統領は11月14日、インドネシア・バリ島において、双方が国家首脳の立場になってから初めて対面で会談を行った。

 習近平にとって米国首脳との対面での会談は3年5カ月ぶり。バイデンとの対面も5年ぶりという。そして第20回党大会で総書記の3期目連任が決まってから初めて臨む国際社会における外交デビューの舞台でもあった。

 習近平は会談冒頭でバイデンと握手したとき、珍しくとびっきりの笑顔を国内外カメラに向けた。新華社は両首脳ががっちり握手して破顔する写真を配信した。これは一部の間で、習近平が第3期目は微笑外交に転じるのではないか、という期待を生んだのだった。

 だが、新華社の報じる会談における習近平の発言、バイデンの発言を見ると、私は不安しか感じない。

 習近平はこの会談で台湾問題について、これまで使わなかったような強い表現で、米国に越えてはならないレッドラインという一線を引いて示してみせた。一方、会談後にはバイデンが、「中国にはすぐには台湾に侵攻する意図がない」という見方を発信した。これにもし根拠があるとしたら、バイデンが台湾問題に関して中国に何かしらの譲歩をした、ということではないか?

「新型大国関係」を改めて提言

 新華社報道を参考にすると、会談における習近平の発言は以下のようなものだった。