ロシア軍(ロシア軍)が11月9日、「ヘルソンから軍を撤退させる」と発表し、その後撤退した。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の撤退は信用できないと発言した。「ウクライナ軍を罠にはめて破壊する準備をしている」と疑ったからだ。

 ロシア軍が撤退したとき、ウクライナ軍は、ロシア軍を追撃しなかった。

 私は、ロシア軍を追撃しなかった選択は正しかったと思っている。ロシア軍の撤退を追撃するというせっかくのチャンスを逃してしまったとは思わない。

 また、ロシア軍が計画通りに混乱することもなく撤退したとも思わない。

 結果的に、ウクライナ軍が追撃しなかったので、その時の戦闘の結果がどのようになったのかは、今となっては分からない。

 ウクライナ軍が追撃しなかったのは、ロシア軍の地上軍の配備情報などから、追撃すれば火力ポケットに誘導され、大きな被害を受ける危険があったと認識していたからだろう。

 ドニエプル川を使ってウクライナ軍の戦力を分離させようとするロシア軍の軍事作戦に引っかからなかったということだ。

図1 ドニエプル川〜クリミア半島に至るロシア軍防御戦闘イメージ

(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイト=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72894でお読みください)

参考:『ロシア軍のヘルソン撤退で天王山迎えるウクライナ戦争』JBpress(2022年11月14日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/7269)

 では、ロシア軍はドニエプル川を障害として利用し、かつ2線の防御ラインで守り切るのか。

 一方、ウクライナ軍は渡河し、ロシア軍の防御ラインを突破できるのか。

 突破は、容易なのか困難なのか。クリミア奪還には、1年以上の時間がかかるのか。攻防はこの地で停止してしまうのか――。

 ウクライナ南部では、これからどのような戦いが生起するのかについて、

①両軍のこれまでの地上戦の特色

②南部での、ロシア軍の地上戦

③ウクライナ軍のクリミア半島に至る地上戦

④ウクライナ軍のクリミア半島奪還戦

⑤ウクライナ軍によるクリミア半島奪還の可能性について考察する。

 この際、両軍のこれまでとこれからの地上戦との違いに焦点を当てて分析する。