2030年代から続々と“賞味期限切れ”になる中国軍艦

「7つの海」の覇権を握る米海軍に伍そうと中国海軍は2000年代に入ってから軍艦の建造を加速させている。

 この動きにさしものアメリカも危機感を募らせ、2020年に出されたペンタゴン(米国防総省)の年次報告書『中国軍事力レポート』で、「中国共産党100周年の2049年までに軍事力でアメリカと肩を並べる」と初めて言及した。中国海軍についても「2020年代前半に水上艦艇・潜水艦が350隻に達し米海軍をすでに追い抜き隻数で世界最大になった」と警鐘を鳴らした。

 またこれに呼応するように米海軍も「中国海軍の主要艦艇は2030年に415隻になる」と警戒する。

 ところが肝心の中国海軍が「軍艦版“団塊世代”の一斉リタイアという難問に直面し、軍艦数の上積みどころか、間もなく現状維持すらおぼつかなくなる」と指摘する専門家も少なくない。

 短期間に多くの軍艦を量産・配備したのはいいものの、7年後に訪れる2030年代からこれらが続々と“賞味期限”を迎えるため、米海軍が危惧する「中国海軍415隻体制」は杞憂に終わるのでは、という説だ。

『ミリタリーバランス2022年版』などを基に独自推測すると、2022年の中国海軍の主力艦は301隻(実験艦は除き、一部保管中や2022年に就役予定の軍艦を含む)で、内訳は以下の通り。

・原子力弾道ミサイル潜水艦(SSBN)/6隻
・原子力攻撃潜水艦(SSN)/11隻  
・通常型(ディーゼル式)潜水艦/57隻
・航空母艦(空母)/2隻(近く1隻追加)
・駆逐艦/49隻
・フリゲート/52隻
・コルベット/72隻(うち約10隻が海警=沿岸警備隊に移管)
・強襲揚陸艦/3隻(他に5隻建造中)
・ドック型揚陸艦/8隻(他に2隻建造中)
・その他揚陸艦/41隻

 ちなみに同じ条件で米海軍は259隻(以下)で、数的にはやはり中国がアメリカを凌ぎ世界最大の海軍となっている。

・SSBN/14隻
・SSN/53隻
・正規空母/11隻
・巡洋艦/24隻
・駆逐艦/68隻
・フリゲート/21隻
・強襲揚陸艦/9隻
・ドック型揚陸艦/11隻
・その他揚陸艦/48隻(米陸軍の揚陸艦も含む)

 なお「主力艦」のカテゴリーにどんな艦種(軍艦の種類)を入れるかについては、研究機関・メディアによってまちまち。ここでは機械的に約1000トン(水上艦は「満載排水量」、潜水艦は「水中排水量」。以下同じ)で戦闘に積極参加する軍艦をカウントし、具体的には「空母」「潜水艦」「水上戦闘艦」(巡洋艦、駆逐艦、フリゲート、コルベット)、「各種揚陸艦」とし、単に物資輸送のための輸送艦や掃海艦艇、各種調査船、1000トン未満の哨戒艇などは含まないこととした。