さらに、ラブロフ外相はタス通信に、開戦以来ウクライナに数百億ドルの軍事支援を送ってきた米国とNATO(北大西洋条約機構)加盟国は、「ロシアを著しく弱体化させる、あるいは破壊する」ことを目指していると非難した。
そしてラブロフ外相はこうつけ加えた。
「(ウクライナ戦争で)ロシアの戦略的敗北をもたらそうとしているジョー・バイデン政権と正常なコミュニケーションを維持することは客観的に不可能」
「(和平交渉の)ボールはウクライナ政権とその背後にいるワシントン側にある」
ロシアにしてみると、米国はロシアを毛嫌いし、破壊しようとしている相手であり、まともな交渉はできないと捉える。
しかし、米国も同じように一方的にウクライナに軍事侵攻し、無辜の市民を殺戮しているロシアとは現段階で適切な交渉はできないとする。
こうした不安定な政治情勢のなか、米政府関係者のなかには、「過去半世紀で、いまが最も核兵器使用の段階に近づいている」と述べる人がいる。
昨年9月、米ニューズウィーク誌はプーチン氏による核兵器使用の可能性を報じた。プーチン氏はこう述べている。
「ロシアの領土保全に対する脅威が生まれた場合、国家と国民を守るために、我々は利用可能なすべての兵器システムを利用する」
これはまさしく、「あるところまできたら核兵器使用は致し方ない」という意味として受け取られた。