子ども自身が危険から身を守る力をつけるよう教育するのは大人の務めだ。通学や通塾、外で遊ぶときの安全教室プログラムは全国の学校で実施されている。一方で見落とされがちなのが自宅。共働き世帯の増加で親の不在時間が長く、子どもが1人でいることの多い家は増えている(図表1)。侵入窃盗(空き巣、忍込み、居空き)のターゲットにならないようにするにはどうすればいいのか、きちんと教える必要がある。

鍵・錠前メーカーの美和ロック(東京都港区)は2011年から、全国の小学校にて鍵の重要性を教える「美和ロック防犯教室」を開催している。これまでに全国各地76口演7000人以上が参加した。

紙芝居やダンス、「防犯あいうえお」で鍵の大切さを伝える

この教室は、紙芝居「おウチを守れ!ロックとキーチャ」、ダンス「カギしめ忘れバイバイ」、防犯8カ条(防犯復習)「防犯あいうえお」の3つで構成されている。講師は声優でプロ紙芝居師のOHANA(おはな)さんとバイリンガル紙芝居師のヤムちゃんの男女ペア。

紙芝居では、臨場感あふれる演出とストーリーで外出時や在宅時の防犯の心得を紹介。鍵の閉め忘れなど大切なことを物語と一緒に伝える。体を動かしながら五感を活用するダンスは、留守番するときの注意事項を歌って踊って覚えてもらう。防犯8カ条は、鍵と防犯に関わる大切な基本ルールをまとめたもので、子どもだけでなく家族にとっても役立つ内容になっている。

美和ロックがこうした活動を展開するのには訳がある。警察庁のウェブサイト「住まいる防犯110番」(15年)によると、侵入窃盗の侵入手段としても最も多いのが、一戸建てと共同住宅ともに「無締り」だった(図表2)。自宅に限っていえば親も子も油断していることがうかがえる。そして例年8月はその手の犯罪が増える傾向にある。

鍵の取扱いも注意が必要だ。チェーン付きや定期入れと一緒に、見える形で鍵を持ち歩いている子どもを見かけたことはないだろうか。不審者から見れば「家に帰ったら親が不在の可能性が高い」とわざわざ知らせているようなもの。その後をつけて、子どもの背後から忍び寄り、子どもが家の玄関を開けた瞬間に家の中に押し入る可能性もゼロではない。

近年は、17年2月に容疑者が逮捕された「NHK記者による女性宅侵入事件」、16年に起きた「福山雅治さん宅侵入事件」や「松山市女性宅侵入事件」など、「合鍵」を使った事件がたびたび報じられている。これら事件の被害者は皆大人だったが、子どもの頃からスキを与えないよう、大人が導くのが望ましい。

防犯教室に参加した子どもたちから次のような感想が寄せられたという。

「鍵はひとに見せない。はじめてしりました。」
「ぼうはんのダンスがめちゃめちゃ面白かった」
「ちょっとのあいだでもかぎをしめる。ドロボウにはいられるからです。」
「おかあさんがポストにかぎをいれてるから、だめだよとおしえてあげました。」

同社は防犯教室を通じて、鍵は生命と財産を守ることを知り、正しい鍵の取り扱い方を身につけてほしいと願っている。