東京五輪組織委員会の会長だった森喜朗・元首相の発言が「女性蔑視」だと総スカン。内外からの厳しい批判を受けて退陣を強いられた。2021年2月10日刊の本書『それ、やってはいけない! ハラスメント大全』(青春出版社)は、タイムリーな関連書籍となっている。

68のハラスメントを解説

森氏は、辞任表明で、「私自身は女性を蔑視する気持ちは毛頭ない」などと釈明した。しかし、本書によれば、ハラスメントでは「知らずに傷つける」ことが少なくない。

片方の当事者が無自覚でも、他方の当事者にとっては不愉快さを感じることがある。本書は、「上司と部下」「男と女」「職場」「学校」「ネット」などを題材に、社会の様々な場面で出くわす68のハラスメントについて、イラスト入りで分かりやすく解説している。

1章 つい、うっかりではすまされない ~「上司と部下」のハラスメント~
2章 かつてのジョークは、今は犯罪に!? ~「職場」のハラスメント~
3章 それは、コミュニケーションではありません ~「男と女・性」のハラスメント~
4章 悪気はなくとも、取り返しがつかなくなります・・・

ありがちなハラスメントを、「実例」や「境界線」、「事件簿や社会の動き」などをもとに説明している。「パワハラ」「セクハラ」などは良く知られているが、ほかにも、「こんなのもあるのか」と再認識するような様々なハラスメントが登場する。

「ジェンハラ」に気を付けよう

大問題になった「森発言」は、本書の分類では、「ジェンハラ」、すなわちジェンダーに関わるハラスメントに相当するといえそうだ。「男だから」「女だから」という規範を押し付けて傷つけることだ。

本書では、「お茶出しは女子社員のおしごと」「女性なんだから、スカートとかにしたら」などが問題発言の一例として挙げられている。もちろん、「男性社員に細かい仕事はムリムリ」「意外と繊細なんだね、男のくせに」など男性に関する発言も対象になる。

対策として、「職場では、おばさん、おじさん、男だから、女だから・・・、これらの言葉をつい言ってしまいがちですから、日頃からなるべく使わないように気をつける必要もあるでしょう」というアドバイスが掲載されている。

2020年6月、大企業には、いわゆる「パワハラ防止法」が適用された(中小企業は22年4月から)。職場で「管理職」に相当する人は、これまで以上に言動に配慮することが要求されるようになっている。

多方面に目配りされた本書は、時節柄、「こんなこともハラスメントになる」ということを手軽に知っておくことができる、便利な一冊となっている。

監修は野原蓉子・日本産業カウンセリングセンター理事長。

価格は1400円+税。

J-CASTトレンドでは関連で、『女性差別はどう作られてきたか』(集英社新書)なども紹介している。