クルマとスマートフォン(スマホ)の連携を実現する仕組みとして、「スマートデバイスリンク(SDL)」という規格が存在する。SDLを利用することで、スマホとカーナビといった車載装備を接続させ、様々なプログラムやアプリが使えるようになる。

このSDLの普及を目的とした「SDLアプリコンテスト2020」の最終審査会が2021年3月8日、オンラインで実施された。「クルマとスマホをなかよくする」というキャッチフレーズを掲げ、SDLを活用したアプリを募集した。開催は今回で3回目だ。

遠隔で運転者と「同乗」

グランプリ(大賞)を受賞したのは「安全運転支援&コロナ3密回避 遠隔同乗システム『ドライブ気分』」。九州産業大学理工学部情報科学科の合志研究室による作品だ。

運転者の車に、自宅などにいる人がバーチャルに同乗できるシステム。運転者は、運転している車の情報を、インターネットを経由して「遠隔同乗者」に配信する。

遠隔同乗者は車から見える景色や走行速度をはじめとして、ナビ上の位置情報、ウインカーの点滅、さらにはステアリングの角度まで、あらゆる情報を実際に同乗しているかのように確認可能。「一時停止いいね」「たい焼き買ってきて」など、運転の応援や頼み事のメッセージなども送れる。メッセージは合成音声で再生される。

新型コロナウイルス禍で人とのドライブがしづらい中、高齢の両親の運転の見守りに使える。また、教習所による運転者への安全指導や、長距離を1人で運転するトラックドライバーへの応援といった活用方法も提案されている。

表彰にあたり、コンテスト審査員長の東京大学大学院情報学環教授・暦本純一氏は「3密回避」というテーマも評価しながら、「遠隔同乗というコンセプトはまさにコンピュータやネットワークがないとできない新しいアイデア」とコメントした。

車やバイクの可能性広げるアイデア

特別賞を受賞した5作品にも、ユニークなアイデアやアプリが集まっている。

バイクのエンジン音をメロディーに変換する「バイクは楽器」というアプリもそのひとつだ。

エンジンの回転数ごとの音に近い音階を、アプリを通して自動的に割り当てる。メロディーはピアノなどの音色で、運転中にバイクが生んだ「音楽」を聴くことができる。

車を動物にキャラクター化するアプリ「もこもこドライブ」では、実際の走行距離に応じてアプリ内の車が成長していく。車に愛着を持つことで、ドライブ意欲の高まりにつながるほか、ガソリン残量が低下したり、エンジンオイルが汚れたりした場合にはキャラクターの表情が変わるなど、メンテナンスの意識も促すことができるそうだ。

グランプリ受賞者は賞金50万円とタブレット端末「iPadプロ」を獲得。特別賞にはそれぞれ10万円が贈られた。