作家の重松清さんの『ビタミンF』が最近になって改めてブレイク、版を重ねて累計で累計80万部を突破する人気となっている。書店の中には、週間売上ランキングで1位になっているところもあるという。

「涙腺キラー・重松清 最泣の一冊!」

『ビタミンF』はが2000年に直木賞を受賞した作品。03年に新潮文庫になった。重松さんの代表作の一つだ。

これまでも順調に版を重ねていたが、今年に入ってから勢いがついた。すでに7万5000部を増刷して、累計81万7000部となっている。

新潮社によると、昨年末に、同社の40代の営業部員が作った一枚の販促用パネルがきっかけになった。

5000部の重版とともに作成したパネルには、「涙腺キラー・重松清 最泣の一冊!」というコピーを付けた。このコピーが多くの読者の関心を集め、わずか数か月で『ビタミンF』を大躍進させたという。

涙が止まらず再度の販促を提案

『ビタミンF』の主人公は中年男。中学生の息子としっくりいかない。「離婚してもいいけど」と最近、妻が呟いた......。若いころの輝きを失いながらも、前を向いて進まざるを得ない人たちに贈る短編集だ。

本書の新潮社の担当営業部員は、主人公と同年代。若いころにも読んだことがあったが、改めて読むと、涙が止まらなかったという。今の自分と重なる部分が多く、「この気持ちを誰かと共有したい」と再度の販促を提案。そんな思いを込めた「涙腺キラー・重松清 最泣の一冊!」というコピーが、異例のブレイクにつながった。

重松さんは1963年生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入り、1991年『ビフォア・ラン』でデビュー。2010年『十字架』で吉川英治文学賞、 14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとしている。

『ビタミンF』は693円(税込)。