新型コロナウイルスのワクチン、日本で現在使用されているのは、米ファイザー社のものだ。今後は英アストラゼネカ社や米モデルナ社のワクチンの使用も、視野に入っている。

一方、日本国内でのワクチン開発はあまり聞こえてこない。その「現在地」を探った。

4社が開発進める

厚生労働省によれば、ワクチン開発は一般的に基礎研究、非臨床試験、臨床試験のステップで進められる。候補となる物質を見つけ、有効性、安全性を担保し、大量生産が可能か確認する必要があり、開発期間は年単位だ。

現在、国内では第一三共、KMバイオロジクス、アンジェス、塩野義製薬の4社がワクチン開発を進めている。厚労省がまとめている国内での主なワクチンの開発状況を見ると、21年3月22日時点でアンジェス社のワクチンが唯一、臨床試験の第2段階まで進んでおり、年内に第3段階にあたる「第3相試験」を実施する意向だ。その後、政府に申請、承認となる。

一方で、ほか3社はその前の段階だ。塩野義製薬は国から223億円の補助を受けながら、21年度末までに年間3000万人分の生産体制の整備を目指している。いずれにしろ、近いうちに国産ワクチンで接種スタートとはいかなさそうだ。

米国や英国、中国、ロシアといった国と比較して、日本のワクチン開発はなぜ遅れているのか。「東洋経済オンライン」の21年4月28日付の記事では、ナビタスクリニックの内科医師・久住英二氏がその理由について述べている。

開発段階で発生する臨床試験では、多くの被験者が必要となる。被験者は開発中の新薬を費用負担なく先行で使用できるメリットを感じ、治験に参加する。しかし、すでに日本では安全性が確保されたファイザー社のワクチンが無償で打てるため、集めるのが難しいとの指摘だ。

「アビガン」の今

「ワクチン担当」の河野太郎行政改革担当相は、国産ワクチンの見通しについて、21年4月29日放送の情報番組「Nスタ」(TBS)でこう述べた。

「いろんな条件がありますが、その条件をクリアして早くいけば年内にも(承認される)、というところがあるように聞いている」

一方、ワクチン以外では、新型コロナの治療薬として期待される抗ウイルス薬に富士フイルムが手がける「アビガン」がある。こちらは、新型コロナの患者を対象とした新たな臨床第3相試験を国内で開始したと、21年4月21日に発表した。

富士フイルムの発表資料によると、今回の試験では重症化した患者の割合を主要評価項目とし、有効性を検証していく。

国産ワクチンよりも先に、アビガンが治療薬として正式に認められるかもしれない。