【ワシントン時事】7月末に就任したケリー米大統領首席補佐官がホワイトハウスの規律引き締めを急いでいる。海兵隊大将だった経験を踏まえ、午前8時45分からの高官会議を45分前倒しするなど軍隊流にルールを厳格化。混乱や内紛が絶えなかった政権運営の立て直しを進めている。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ケリー氏は今月上旬、大統領執務室での会議中に本筋を外れた議論を始めた高官2人に対し、会議からの中座を要求。意見の相違を埋めるまで部屋に戻らないよう指示した。この結果、トランプ大統領を交えた会議が従来のように迷走することはなかったという。

 綱紀粛正はさまざまな角度から進んでいる。ケリー氏は、大統領の下に玉石混交の情報や助言が集まる状態に終止符を打つため、大統領に渡される書類の事前チェックを徹底。開け放しだった大統領執務室のドアは閉じられ、スタッフが許可なく出入りすることは許されなくなった。

 高官会議は時間を早めただけではなく、場所を首席補佐官室から会議室に変更し、テレビのスイッチはオフに。出席者に対しては、他人の持ち場に干渉せず、割り当てられた仕事に集中するよう命じるとともに、他国とのやりとりは国務省に報告するなど担当者への連絡も怠らないよう求めた。

 大統領の家族も例外ではなく、長女イバンカ補佐官とその夫クシュナー上級顧問はケリー氏の監督下に置かれた。これまで首席補佐官と同格とされていたバノン首席戦略官・上級顧問も同様だ。ホワイトハウスのスタッフは、隅々に目を光らせるケリー氏を「将軍」と呼んでいるという。

 もっとも、ケリー氏にも限界がある。同氏はしばしば物議を醸す大統領のツイッターの添削を始めたと報じられていたが、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、大統領は最近、演説や記者会見で何を話し、ツイッターにどんな言葉で投稿するかは自分で判断すると周辺に通告した。

 大統領が8日、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に「火力と怒りに直面する」と警告した際、ケリー氏も驚いたとされる。大統領は本来、協調より競争、秩序より混乱を好むとされ、今はケリー氏の統率力を歓迎しているが、いずれ疎んじるようになる恐れも否定できない。