インターネット上でのモラルの問題は年々深刻に

インターネットの普及が進み、スマートフォンなどのモバイル端末でも常に快適にネットに接続ができるようになった今日、日本のインターネット人口は既に1億人を越えています。ネットの普及によって様々なことが劇的に便利になりましたが、その一方でネットモラルの問題は年々深刻になっています。

インターネットは双方向のメディアであるため、誰でも意見や写真、動画などをいつでも投稿することができます。そのため、ネット上には様々な意見が投稿されており、それらがネットをより深くしているところもあるのですが、ネット上の投稿はよいものばかりではありません。

物事に対して、個人攻撃とも取れるような書き込みが後を絶たないのも事実です。

ACジャパンの桃太郎CMが話題に

これらの悪意のある投稿に対して、公益社団法人ACジャパン(旧公共広告機構)が桃太郎の物語を題材に制作した公共広告「苦情殺到!桃太郎」が話題になっています。

主にテレビやラジオで放送されていますが、そのストーリーは、おばあさんが川を流れてきた桃を拾ったところ、「窃盗だろw」、「通報!通報!」、「桃の気持ち考えたことあるのか!」、「謝罪会見マダー?」、「背景から住所分かるかも」、「電話で抗議しよう」、「もっと炎上しろー!」などなど、ネット上でよく見かけるような匿名の非難、中傷コメントが殺到し、おばあさんがおろおろと困惑する、というものです。

炎上しやすい特徴を持っているインターネット

このように、何かの物事に対して様々な意見(多くは否定的なもの)が殺到し、さらには、その事件が様々なところに転送、拡散された結果、無関係な第三者までもが面白半分で参加して騒ぎが大きくなり、収集がつかなくなった状況のことを「炎上」と言います。

これはもともとネット用語だったものですが、だんだん一般化してきて、現在ではテレビニュース等でも普通に使われるようになりました。

インターネットは誰もが意見を書き込めるうえ、直ちには書き込んだ人の身元が分からないという匿名性もあるため、しばしばこの炎上が発生しがちです。そして、少しでも批判要素があるような事柄では、非常に攻撃性の高い言葉が使われ、相手に面と向かって言うわけではないので、表現はどんどんとひどくなっていきます。

この構造はいわゆる「ネットいじめ」と同じで、相手が直接見えないうえ、反撃されることもないのでどんなひどい言葉でも言えます。そして発信者は、自分は安全な場所にいながら対象者にそのようなひどい言葉を投げかけることで優越感を得、自らのストレスのはけ口にしているのです。

これはまるで自分は安全な物陰に隠れてピストルで相手を攻撃するようなものです。攻撃した側に大きな悪意はなくても、やられた側にはそれらのひどい言葉や中傷が心に深く突き刺さります。

ネット上の炎上事案に関しては、ほとんどの場合は知らない相手を叩くケースです。全く面識のない相手のSNSの投稿や失態を安全な場所から批判し、普段は絶対に使わないような言葉で中傷します。

この場合は、対象は見えない相手、知らない相手なので、投げかける言葉はどんどんひどくなり、多くの場合非常にエスカレートします。言葉を発する側は、面白半分で、悪意はない場合がほとんどでしょうが、なかには名誉毀損や侮辱罪で罪に問われるようなレベルのものも決して少なくありません。

それでも、現状は相手側が訴えたりするようなことはほとんどないため、このような投稿は減るどころか増える一方です。

ネット上でも相手に対する配慮を持って行動を

どんなひどい誹謗や中傷を投稿しても、「もともとふざけ半分で投稿した」というような感覚の人がほとんどだと思います。

ですが、相手が見えない投稿は必ずエスカレートします。そして、あまりにもひどい言葉で攻撃された結果、被害者が自殺するようなケースも珍しくありません。

やる方は面白半分やストレス解消のつもりで何も考えずにやっているのでしょうが、やられる方にとってはたまりません。この広告のメッセージでもあるように、ネットに何か投稿をするときは相手のことも考え、自分がされたらどんな気持ちになるかを考えてから書き込むような配慮と心の余裕を持ちたいですね。

(目代 純平/ITコンサルティング、ITコンシェルジュ)