テーブルマナーの意義や意味とは?

日本は世界屈指の「飽食の国」「美食の国」であるとともに「食」に対する安心・安全にもとても敏感です。しかしお世辞にも「心を通わせて食べる」ことは上手とは言えません。そこで改めてテーブルマナーの意義や意味に触れてみます。

古今東西「生きることは食べる」ことですが、「食卓を共にしている人と楽しく食べる」ことと、「食材や料理を作ってくれる人やサービスしてくれる人に感謝しながら美味しく食べること」がテーブルマナーです。

テーブルマナーは各国共通ではなく、国々の文化、歴史、気候風土、国民性、宗教、食べ物や食習慣により異なります。しかしいずれもその背景には「なぜそうなるの?」といった理由が存在します。不必要に形にこだわるより「なぜ?」といった点をぜひ心に留めてください。

それでは公私に渡り縁が深い「和食」と「洋食」のマナーに触れてまいります。

和室で会席料理をいただくときのマナー

和室でのマナー

料亭や旅館の和室での立ち居振る舞いは窮屈、堅苦しいと思いがちですが、他者への思いやりを表現したものです。「三辞三譲」「一回一動作」「男性優位」などの原則が働きますが他にも以下の点に注意してください。

靴を脱ぐときは正面を向いたまま上がり、膝をついてから靴の向きを変えます。 襖や障子をあけるときには一気に開けず、一呼吸おいてください。 席次は床の間に近い場所が上座です。 挨拶は正座が基本で座布団から降りてします。

和食のマナー

ここでは日本料理の大半を占める「会席料理」にふれます。

お絞り

和食には「お絞り」が用意されますが、これは手を清める意味があります。人前で堂々と使用しないで膝の上でさりげなく使用してください。

箸使い

美しい箸使いを心がけてください。右手で箸の真ん中をもって取り上げ、左手で下から支えます。右手を右に滑らせ右手を返して、右端から大体三分の一の部分を持ちます。
置くときには箸置きに口が付いた部分(2?から3?位)出るように置きます。

器と箸の持ち方

和食は平皿を除き、器を持ちます。器と箸の持ち方は、最初に器を両手で持ち左手に移します。右手で箸を持ち、箸先を左手の薬指と小指の間に挟み、右手を箸の下に滑らせて持ち替えて下さい。

箸に込められた精神文化

箸に込められた豊かな精神文化を理解してください。和食は神道の影響がとても強く「神人共食文化」を有しており、年中行事と密接な関係があります。祝い膳を食べる「祝箸」の両端がとがっているのは、一方で人間が、もう一方で神様が使用するためです。
また「割り箸」はおもてなしの心が込められていますが、左右に割るのではなく上下に割って使用します。左右に割ると他者の空間に入り込むからです。

懐紙

懐紙を持参してください。食べ物を口に持っていくときに、左手を受け皿のようにするしぐさを「手皿」「手盆」といいますが、これは感心しません。清めた手をわざわざ汚しに行くようなしぐさになるので、手で受けるのはよくないということです。和食を食べるときには「懐紙」をどうぞ。

感謝の言葉

感謝の言葉を発してください。和食は自然とのかかわりを大切にしております。食前と食後には食材や料理を作ってくれた人への「いただきます」「ご馳走様」といった感謝の言葉を発してください。

ホテルやレストランで洋食をいただくときのマナー

洋室でのマナー

和室と洋室では真逆のケースも多々ありますので振る舞いに注意してください。例えば和室の男性優位から一転して洋室は「レディーファースト」の原則が働きます。(ビジネスシーンではいずれも上位者優位)。

また和室は左上位ですが洋室は右上位になります。

加えて食前に乾杯の発生の音戸や挨拶を依頼されたら、和室では一端は断りますが、洋室では積極的に受けてください。

洋食のマナー ナプキンのマナー

洋食には手や口元が汚れたときに拭くナプキンが用意されます。料理が出てくるタイミングで二つ折りにした状態で膝の上に置いて下さい。急用等で席を立つときにはナプキンを軽くたたんで椅子の上に置いて下さい。

フォーク・ナイフは優雅に

和食は箸使いを大切にしますが、洋食のポイントは優雅にカトラリー(フォーク・ナイフ・スプン等)が使いこなせるか否かです。背筋を伸ばし、軽く膝をはり、フォーク・ナイフを上手に使用してください。右手にナイフ、左手にフォークを持ちます。

加えて食べ終えた後のフォークやナイフの置き方も大切です。刃先を必ず手前にして内側からフォーク、ナイフの順に揃えて置いて下さい。

フィンガーボールのマナー

あえて手を使って食べたほうが良い料理の場合には「フィンガーボール」が用意されます。左手前に持ってきて片方ずつ指先を洗いナプキンで拭けばいいでしょう。

会話が大切

洋食は特に会話を楽しむことを大切にします。「何が話せるか」、日頃からコミュニケーション能力を磨いてください。

ワインの知識とマナー

フランス料理とワインは夫婦のようなものです。食事をさらにおいしく、その場の雰囲気を楽しくするのが飲み物です。ワイン等の酒に関する基礎知識も大切ですが、洋食は和食に比べて、客同士でワインを注ぐあうことはしません。係りの人に任せてください。

なおワインを継いでもらう時にはグラスは置いたままです。右側において下さい。

世界共通のマナーとは

和食もフランス料理もユネスコの無形文化遺産に登録されている世界に誇る食文化ですが、和食は自然や年中行事とのかかわりを大切にしています。一方洋食は「社交性」「危機管理的要素」が強調されています。

和食の席か?洋食の席か?により立ち居振る舞いが大きく異なるということをご理解ください。

そしていずれの場合も、美しいマナーは同席者、料理を作ってくれた人、サービスしてくれた人、食材、文化などにどれだけ配慮ができるかということです。

さらに男性も女性も一口の量をやや少なめにすれば美しい食べ方に直結します。また食べるスピードを周囲に合わせることも大切にしてください。

加えてテーブルマナーは食べるときだけではありません。食事が終えた後の食卓にその人の品格が現れます。「立鳥跡を濁さず」です。

(平松 幹夫/マナー講師)