職場でのメンタルヘルス対策は急務

職場におけるメンタルヘルスの問題は、ここ最近特に注目を集め話題になっています。今や長時間労働による過労自殺の問題もあり、職場でのメンタルヘルス対策は急務だと言えるでしょう。

メンタルの不調は自分自身で管理することが基本ですが、周囲の人たちとも連携し、企業全体としてサポートしていく必要があります。では、実際に職場でメンタル不調者が出た場合、周りはどのように対応すれば良いのでしょうか?そして企業としてはどのようなサポートができるのでしょうか?

まだまだ心の病に対する偏見も多い中、職場におけるメンタルヘルスの取り組みについて解説していきます。

メンタルヘルス対策のために企業がすべきこと

心の病といってもその要因は人それぞれですが、共通して言えるのは、人は簡単に悩みを他人に打ち明けないということ。たとえメンタルに不調があっても全部一人で抱え込んで、なかなか周りの人に打ち明ける事はありません。

ですから、いくら周りが気を配っていても、他人の悩みはなかなか気づきにくいですし、見た目だけでは体調が悪いのかメンタルが不調なのかもわかりにくく、どのように声をかければ良いのか、あまりプライベートに踏み込みすぎるわけにもいかないので難しいところです。

軽い愚痴程度で済むようなら良いのですが、本人の問題に対する深刻度(重要度)が高ければ高いほど、余計問題を一人で抱え込んでしまいますので、周囲の人間はますます気づきにくくなります。

親しい間柄ならまだしも、職場というのは基本的に仕事をするために人が集まっている場ですから、なかなか他人の心の健康状態まで注意を向けられないことを考えれば、やはり重要なのは企業(雇い主)による健康サポート体制の充実です。

制度としてメンタルヘルスに対する相談窓口などを設けたり、新たに専門の部署を設置したりするのも効果的でしょう。

メンタル不調者に周囲はどのように対応すれば良いか

しかしメンタルヘルス対策に投資する余裕のない中小零細企業などは、やはり日頃から従業員の些細な変化に目を向けておく必要があります。

なんだかいつもと様子が違うなと感じた場合は、周りの人が上司に報告したり相談したりするのも良いでしょう。その際、業務連絡のように報告する必要はなく、日常会話をする感じで「○○さん、なんか調子が悪そうだけど」と、いつもより気にかけるくらいの報告で良いと思います。

直接本人に声をかける場合は、最初から重苦しい雰囲気で声をかけるのではなく、「調子はどう?」とか「しんどそうだけど大丈夫?」といった感じで、相手の体調を気遣うくらいで構いません。

すると本人は自分のことを気にしてくれてるんだなと、それだけでも安心できますし、会話のはずみで抱えてる悩みを打ち明けてくれるかもしれません。

企業のサポート体制を利用したり悩みを聞いたりする場合でも、本人の話を聞いて直接何かをしてあげようとするのではなく、まずは話を聞いて受け止めてあげることが大切です。その上で何か本人が望んでいることがあれば相談の上で決定し、必要であればしばらく休暇を提案するなど、何か具体策を話し合ってできる範囲のメンタルヘルス対策を進めてください。

お互いが納得して決めたことであれば、後ろめたさを感じることなく安心して制度を利用できますし、企業としてメンタルヘルス対策に力を入れていることを従業員に認知してもらうようにすれば、同僚の目を気にすることなく安心して勤務することができます。

また、そういったメンタルヘルスに力を入れている企業では、メンタル不調者も出にくく、快適な職場環境の優良企業だと言えるのではないでしょうか。

行政としても、こういったメンタルヘルスの取り組みに力を入れている優良企業に対して、税制面や助成金の補助など何らかの優遇処置を設ければ、社会全体としてより大きな効果をもたらすのではないでしょうか。

メンタルヘルス対策は企業の業績向上にもつながる

メンタルヘルスへの取り組みは、本人の心の問題だけにとどまらず、企業としても業績やイメージ戦略としても効果的です。また、求人面でも優秀な人材の採用にも繋がる取り組みですから、それこそホームページやSNSなどで、メンタルヘルス対策の具体的な取り組みをアピールしてみるのも良いですね。その影響で企業全体が活性化し、自然とメンタルヘルス対策にも繋がるのではないでしょうか。

最後にメンタルヘルス対策で大切なのが、どのような取り組みであっても皆が「安心できる」ということが重要ですので、ぜひ安心をテーマにメンタルヘルス対策を推し進めていきましょう。

(宮本 章太郎/心理カウンセラー)