まず遺言書があるかどうかの確認をする

詳細は省きますが、遺言書は公正証書遺言と自筆証書遺言に大別されます。公正証書遺言は現在「遺言検索システム」というサービスを利用すれば遺言書の有無が確認出来ます。確認出来る内容は「遺言者の氏名、生年月日、公正証書遺言の作成年月日」と「保管されている公証役場」が分かります。

ただしこのシステムを利用出来るのは、法定相続人、受遺者、遺言執行人等に限られ、その際は遺言者本人の死亡を証明する資料(除籍謄本等)、照会を依頼した者が相続人等であることを証明する資料、さらに本人確認用の資料(免許証等)を事前に用意しなくてはいけません。

自筆証書遺言の場合は想定できる場所を推測するしかありませんが概ね以下のような場所で保管されていることが多いようです。

仕事で関係のある弁護士や資格者 遺言信託の場合は信託銀行から毎年通知される照会通知の確認 自宅の場合は金庫や書斎のデスクの引き出し、本棚の裏、仏壇の中 会社経営者であれば会社の専用デスク、金庫等 少数例では愛車のトランク内、日記帳の間、ゴルフバッグの中等

なお、一般的にどのくらいの割合で遺言書が残っているのか、という点については諸説あり、一概に何割くらいはある、とは言えないのが現状です。当然ではありますが、親が亡くなる前に確認しておくのがベターです。

次に相続人が誰なのかを確認する(相続人調査)

法定相続人が何名なのかが確定できないと相続分が確定出来ません。そのため、相続人調査が必要になります。相続人の範囲は民法によって定められていますのでその範囲内で存命中の相続人を確定します。

まず、亡くなった方の配偶者は常に相続人です。ちなみに内縁関係の場合は相続人には含まれません。

次に第一順位に死亡した人の子供 子供が既に亡くなっている場合はその子の子(孫)、孫(ひ孫)といった直系卑属で、第二順位は死亡した人に子や孫がいない場合に相続人になる死亡した人の父母、祖父母といった直系尊属になります。

第三順位は上記の直系尊属も卑属もいない場合に死亡した人の兄弟姉妹になり、兄弟姉妹が死亡している場合はその子(甥、姪)になります。

相続人調査の場合注意すべき点は亡くなった方が再婚で先妻との間に子がいたかどうか、さらに婚姻関係にない相手との間の子(婚外子)の確認です。

これらは死亡者の戸籍を確認することで判明します。また婚外子であっても認知されていない場合は相続人に含まれないのでこの点の確認も欠かせません。

婚外子を認知した後に自分の本籍地を移したり(転籍)、その他の原因によって戸籍が新たに作られた場合には、認知に関する記載は新戸籍には引き継がれず、未記載の状態になるのです。

ですから、現在の戸籍だけでは事実関係は正確とは言えず、必ず除籍や改製現戸籍等の過去を遡った古い戸籍までを調査しなくてはいけません。

相続財産がどのくらいあるのかを確認する(相続財産調査)

そして、相続財産がどれだけ、どういう形で遺されているのを確認します。 相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産の2種類がありますが注意すべきはマイナス財産の有無の確認です。

個人または公的機関からの借金、未払いの税金、連帯保証人契約等は場合によっては債務超過の遺産相続となる恐れがあります。遺産相続には遺産をそのまま引き継ぐ単純承認、プラス財産の範囲内迄ならマイナス財産も引き継ぐ限定承認、全ての遺産相続を放棄する相続放棄の3種類があります。

借金、債務の有無の確認については本人が隠している場合、または言う機会を失したままま亡くなった場合は、これといった発見の決め手はありません。

一般的には

故人宛の手紙や封書の内容 故人が使っていたパソコンの履歴 故人名義の電話の履歴から 日記、ネット上のブログやツイッター等のSNSから 同じくメールの履歴から 遺品の中から契約書等の原本、又は写し等から 会社経営者であれば、他の役員などから金銭絡みの感じがするやりとりのあった相手先

といったところからリストアップして確認していく他ないと思います。蛇足になりますがこれらの作業を死亡から3カ月以内に相続税の申告と納付まで済ませるには、生前にどれだけ故人から関連情報を聞き出せているかにかかってきます。

さらに相続の発生から3カ月以内にどの相続にするかを決めなくてはいけないという制約があります。

何の行動も起こさずにこの期間を経過しますと自動的に単純承認になるので、ある意味最優先で確認すべき案件と言えます。多くの場合、借金は家族に内密に返済・対処しようと考える為、死後に債権者からの請求や打診で初めて多額の借金の存在を知って周章狼狽するというケースは少なくありません。

このように、ここで採り上げた3点についてだけでも生前に何の情報も得ていない場合には遺族は限られた時間の中でやみくもに確認作業に追われることになります。

今回のタイトルは「親が亡くなったら〜」ではありますが、本来は「親が亡くなる前に」確認しておくべきこととして認識することが大切な備えとなるのです。

(寺田 淳/行政書士)