子どもの「リビング学習」が盛んに聞かれるようになった

子どもの学力向上。いつの時代も子どもの学力向上については様々な議論がなされ、時にはメディアを通して世に広まったりしてきました。そのような中、最近では家の間取りが子どもの学力向上に影響を与えると言われ、リビングやダイニングで勉強をさせるというスタイルが流行っているようです。

東大生の大半は子どもの頃、学習場所がリビングだったという調査結果もあるようですが、実際に家の間取りと子どもの学力向上に関連性はあるのでしょうか。

間取りが子どもの学力やコミュニケーションに影響を与える

確かに、家の間取りが子どもの学力向上に関与している部分はあります。例えば、冒頭で述べたリビングですが、ここでの学習は「わからない問題はすぐに聞くことができる」といった効率性と、「親に見守られている」という安心感が意欲や集中力を高める面があります。さらに、兄弟でリビング学習をすれば、下の子は自分の学年よりも先の学習内容を知って、興味をわく事もあります。

また、子どもが自室に入る前に必ずリビングを通る間取り(いわゆるリビングアクセス)は、自然と家族の会話が持てるようになり、親子のコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。こういった側面を見ていくと、家の間取りと子どもの学力は決して無関係ではないと言えるでしょう

重要なのは子どもが安心できる居心地の良い家であること

しかし、どれだけ間取りが理想通りであっても、子どもが家庭に居心地の良さを感じていなければ、学力効果が見られない事もあります。

そもそも、家庭は子どもにとって安心・安全であることが重要です。辛いことや悲しい事があっても、安心・安全を実感できる家庭環境が子どもに学習意欲を促すのであって、リビング学習やリビングアクセスといった環境を準備したら、必ず学力が上がるというのは、あまりにも表層的な見解です。

リビングは、親子でコミュニケーションをとる場所のひとつで、子どもに安心と安全を提供するきっかけのひとつです。

子どもが一人で過ごせる場所をつくることも大切

また、家の間取りに関わらず、子どもがクールダウンをする場所や時間があることも大切です。時には子どもが部屋で1人で過ごす事も大切ですし、子ども部屋がない場合は、1人でお風呂に入るなど、1人の時間を提供することも大切です。こういったメリハリがとれる環境も、安心と安全を感じ、学習意欲を高めます。

気をつけなければならないのは、リビングで子どもを監視することが目的になってしまうとです。連絡帳や明日の用意、学校の様子から友達関係まで事細かに管理し、二言目には「勉強しなさい」というコミュニケーションでは、子どもは家庭で安心と安全を実感できず、学習意欲が削がれることがあります。

(中原 崇/社会福祉士)