ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 昨年は、新型コロナウイルスの影響で入社式を中止や延期する企業が相次ぎましたが、今年は4月1日に予定どおり開催した企業が大半でした。新入社員の人数がそれほど多くない企業では、密にならないように注意しながら、対面型での入社式を復活させました。一方、新入社員の人数が多い企業では、全員オンライン参加で実施したところもあれば、代表者数名だけが対面型で出席し、そのほかは自宅等からオンライン参加の企業や、会場を分けて全員対面型で実施した企業など、その対応はさまざまだったようです。ただ、その後に続く新入社員研修はオンライン形式で実施する企業が多いようです。会場の収容力の問題のほか、グループワークの運営のしづらさなどもあるのでしょう。
 さて、今年の新入社員はどんな気持ちでこの入社式を迎えたのでしょうか。HR総研では、神戸大学大学院 経営学研究科の服部泰宏准教授による監修の下、2021年2月25日〜3月11日に、民間企業42社の企業にご協力いただき、合計1500名以上の内定者を対象に入社直前での不安感や期待感等を問う共同アンケートを匿名で実施しました。本編に入る前に、少しこちらのデータを紹介しましょう。

コロナ禍でも不安なことは基本的な事項

 まず、多かれ少なかれ、新入社員はなにがしかの不安を抱えています。その不安の内容を複数選択式で聞いたところ、最も多かったのは「仕事についていけるか」で59%とほぼ6割の学生に及びました[図表1]。次いで、「職場に馴染めるか」(53%)、「仕事で成果を出せるか」(52%)までが半数以上の学生に選択されており、「仕事をしっかりこなして成果を出せるか」という点に多くの学生が不安を抱えていることが分かります。学生から社会人へ、あるいは就職を期に居住地が変わる学生もおり、「生活環境の変化」(44%)を挙げる学生が次いで多くなっています。一方、通勤時や対面業務を通じてのコロナ感染リスクを挙げる学生は5〜6%とごくわずかにとどまっているようです。

[図表1]入社直前の不安の内容(複数回答)

資料出所:HR総研「2021年入社予定者の入社前意識調査」(2021年3月。以下、[図表3]まで同じ)

 不安とされた上位3項目は、コロナ禍とは関連しない極めて基本的な事項ともいえますが、今回は初めての調査で比較対象がないため断定はできないものの、学生の不安の度合いはこれまでよりも大きいかもしれません。説明会や選考、内定者フォローといった一連のコミュニケーション機会が対面ではなく、オンライン中心に展開されてきたことで、例年よりも会社や仕事への理解度や納得度が低い可能性が否定できないからです。入社後のフォローをこれまで以上に丁寧に実施するとともに、2022年新卒採用でもオンラインコミュニケーションを継続する場合には、理解度や納得度を高めるためにもコミュニケーション量を増やすことを心掛けていただければと思います。

テレワークよりも出社を希望

 次に、これらの不安を少しでも解消するために、彼らは企業にどんな支援を期待しているのでしょうか。6割以上の学生が挙げたのは、「気軽に相談できる指導担当者がほしい」(62%)と「職場の先輩や上司とコミュニケーションしやすくしてほしい」(61%)の二つです[図表2]。

[図表2]不安解消のために会社に期待する支援(複数回答)

 前項で見たように「仕事をしっかりこなして成果を出せる」ようになるためには、「先輩や上司に気軽に相談できる」環境がほしいということなのでしょう。次いで、「同期とコミュニケーションしやすくしてほしい」(50%)を半数の学生が挙げています。仕事のやり方は先輩や上司に相談し、その先輩や上司との接し方を同期に相談したいといったところでしょうか。
 注目したいのは、「できるだけ出社して働けるようにしてほしい」(17%)に対して、「できるだけテレワークで働けるようにしてほしい」は10%に過ぎないことです。さらに24%の学生は、「テレワークがある場合、不安を解消できる環境を作ってほしい」を選択しています。1年前の就職活動での選考時期には、オンライン選考を希望する学生が多く、対面選考を継続する企業の人気が大きく落ちるといったこともありましたが、いざ自分たちが就業する立場になった時には、テレワークよりも出社しての対面業務を希望しているようです。仕事を覚えるためには、テレワークよりも実際に出社しての対面のほうが効率的だと考えているだけでなく、対面のほうが職場の先輩や上司との人間関係を築きやすいとの思いもあるのでしょう。
 新入社員研修の参加方法について「対面か、オンラインか」を問うた設問でも同様の結果が見られました。「対面で参加したい」(31%)と「どちらかというと対面で参加したい」(36%)を合わせた「対面」派は67%と7割近いのに対して、「オンラインで参加したい」(5%)と「どちらかというオンラインで参加したい」(9%)を合わせた「オンライン」派はわずか14%にとどまります[図表3]。

[図表3]新入社員研修への参加形式

 圧倒的に「対面」派が多数派を占めています。新入社員研修は、これから仕事を進めていく上で必要な各種知識を習得するとともに、同期との人間関係を構築するという貴重な機会でもあり、後者のためにはオンラインよりも対面でぜひ参加したいという思いが強いものと推測できます。

後半戦で大きく盛り返した中堅企業

 ここからが今回の本編になります。HR総研が、2021年3月12〜24日に企業の採用担当者を対象に実施した「2021年および2022年新卒採用活動動向調査」の結果を紹介します。今回は、2021年4月から従業員301名以上の企業に義務化された正規雇用労働者の中途採用比率の公表(改正労働施策総合推進法)への取り組み状況のほか、2022年卒採用に向けたインターンシップやセミナー・説明会の実施状況について取り上げます。
 まずは、今年4月入社者の採用計画数に対する充足率を見てみましょう(以下では、従業員数300名以下を中小企業、301〜1000名を中堅企業、1001名以上を大企業と称します)。採用計画数に対する充足率は、企業規模によって大きく異なります[図表4]。

[図表4]2021年月入社予定者の充足度(2021年度採用計画なしは除く)

資料出所:HR総研「2021年および2022年新卒採用活動動向調査」(2021年3月。以下図表も同じ)

 大企業では、「100%以上」37%、「90〜100%未満」53%で、合計すると採用計画数に対して新入社員を「90%以上」確保できた企業は90%に達し、「50〜70%未満」から「0%」までを合計した「70%未満」の企業はゼロという結果になりました。
 これに対して、中堅企業では「100%以上」53%、「90〜100%未満」17%で、合計すると「90%以上」が70%と善戦し、「70%未満」は17%となっています。「100%以上」が5割を超えているのは、内定辞退を見越して多めに内定を出したものの、内定辞退が予想を下回った結果だろうと思われます。それが「90〜100%未満」での大企業との数字の開きにもつながっているのではないでしょうか。
 昨年10月実施の「2021年&2022年新卒採用動向調査」時点では、採用計画数に対する充足率で苦戦していた中堅企業(充足率100%以上:大企業55%、中堅企業19%)ですが、その後の採用活動で大きく盛り返したようです。中堅企業の中には、大企業と内定者が競合する企業も多く、採用活動前半戦では内定者を大企業に奪われるケースが多かったのに対して、後半戦は大企業の採用活動が落ち着き、大企業との競合が激減したことで内定承諾率が高まったものと推測されます。
 中小企業では、「100%以上」32%、「90〜100%未満」19%で、合計すると「90%以上」は51%と約半数にとどまります。「70%未満」は36%にも達し。そのうちちょうど半分は「30%未満」(18%)となっています。企業規模による明暗がはっきり表れているといえます。

企業規模による「新卒重視」の傾向差が明らかに

 続いて、改正労働施策総合推進法を念頭に、新卒採用とキャリア採用の関係性を見ていきたいと思います。改正労働施策総合推進法とは、労働者の主体的なキャリア形成による職業生活のさらなる充実や再チャレンジが可能となるよう、中途採用に関する環境整備を推進することを目的とし、中途採用に関する情報の公表を求めることにより、企業が長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況を明らかにし、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進しようとするものです。今回の改正により、常時雇用する労働者が301人以上の企業では、インターネットの利用や事業所への掲示など、求職者が容易に閲覧できる形で「直近の3事業年度の各年度について、採用した正規雇用労働者の中途採用比率」をおおむね年に1回、公表日を明らかにして公表することが必要となります(法令上の表記は「中途採用」、HR総研のアンケートでは「キャリア採用」と表記していますが、ここでは両者とも同義とします)。
 まずは、2021年4月入社の「新卒採用人数」と2020年度1年間の「キャリア採用人数」の比率です。大企業では、「新卒採用がキャリア採用より多い(2倍以上)」が53%と半数以上を占めるなど、依然として「新卒重視」の傾向が続いていることが分かります[図表5]。

[図表5]2021年4月入社の「新卒採用人数」と2020年度1年間の「キャリア採用人数」の比率

 「新卒採用がキャリア採用より多い(2倍未満)」を合わせた「新卒採用がキャリア採用より多い」で比較してみると、大企業58%、中堅企業50%に対して、中小企業では32%と、もはや「新卒重視」とはいえない現状が垣間見えます。実際、中小企業では、「ほぼ同じ」も32%、「キャリア採用が新卒採用より多い(2倍未満)」と「キャリア採用が新卒採用より多い(2倍以上)」を合わせた「キャリア採用が新卒採用より多い」も32%と、完全に拮抗しています。ちなみに残り4%は「どちらも採用していない」になります。
 一方、中堅企業は、「ほぼ同じ」の割合こそ大企業の16%よりも多い27%であるものの、「キャリア採用が新卒採用より多い」は逆に大企業の27%より少ない23%となっており、一概に大企業より「キャリア採用」が進んでいるとも言い切れない状況にあります。

キャリア採用比率向上は、キャリア採用数増だけではない

 次に、キャリア採用比率向上に向けた取り組み意向についても確認してみました。「すでに取り組んでいる」は、大企業25%、中堅企業19%、中小企業13%と企業規模が大きいほど取り組みが進んでいることが分かります[図表6]。また、「2021年度から取り組む予定である」と「取り組む方向で検討中である」を合わせた「これから取り組む」派も同様に、大企業35%、中堅企業25%、中小企業7%と、企業規模による違いが鮮明に出ています。

[図表6]キャリア採用比率向上に関する取り組み意向

 今回の法改正が「常時雇用する労働者が301人以上の企業」を対象としているため、規模による対応の違いは当然の結果かもしれません。ただ、公表義務の対象であるにもかかわらず、中堅企業では「取り組む予定はない」とする企業が43%(大企業15%)もあります。前項で見たように、必ずしも中堅企業では大企業よりもキャリア採用比率が高いとも言い切れない中で、取り組み姿勢には大企業と温度差があります。
 続いて、「すでに取り組んでいる」と「これから取り組む」派を対象に、キャリア採用比率向上のための方法を聞いたところ、全体では「キャリア採用数を増加させる」が64%で最多であるものの、「キャリア採用数を増加させ、新卒採用数を減少させる」が20%、「新卒採用数を減少させる」ことで相対的にキャリア採用比率を高めるとする企業が4%と、両者を合わせた「新卒採用数の減少」派が24%にも上ります[図表7]。

[図表7]キャリア採用比率向上の方法

 企業規模別に見ると、「新卒採用数の減少」派は大企業で17%、中堅企業で25%、中小企業で27%と企業規模が小さくなるほど多くなっています。政府は、労働施策総合推進法の改正に当たり、単純に中途採用数が増える効果を期待していたのでしょうが、新卒採用数が減少するリスクは想定していなかったのでしょうか。甚だ疑問です。

中小企業の3割以上は22年卒の「採用なし」

 ここからは2022年卒採用の状況について見ていきます。まずは、今年4月入社者数と比較した2022年新卒採用計画数の比較です。全体では、「前年並み」が39%と4割を占め、「増やす」が8%に対して「減らす」が11%と、「減らす」ほうがやや多くなっています[図表8]。ただ、このほか「採用なし」とする企業が22%もあります。「前年も採用なし」という企業もあると思われますが、中には「減らした」結果として「採用なし」になった企業もあるでしょうから、「減らす」企業の割合はもっと多くなるものと推測されます。

[図表8]キャリア採用比率向上の方法

 企業規模別に見ると、「前年並み」は大企業で55%、中堅企業で49%と多く、中小企業は32%にとどまります。「増やす」は、どの規模でも1割に満たず、「減らす」は大企業で15%、中堅企業で19%と「減らす」ほうが多くなっています。ただ、中小企業だけは、「増やす」の9%に対して「減らす」は7%と、一見すると「増やす」ほうが多く見えますが、前述したように「採用なし」にも着目してみると実に31%もあり、実際には「減らす」割合はもっと高いと思われます。
 自動車や電機などの円安メリットを享受している輸出型メーカーなど、コロナ禍以前並みに業績が回復してきた業界や、そもそもコロナ禍でマイナスの影響を受けなかった業界がある一方、旅行関連や外食、アパレルのように業績回復には程遠い業界など、業界による明暗がこれほどはっきり出ている点は、これまでの不況期とはやや様相が異なります。このため、2021年卒採用に続いて、2022年卒採用はさらに新卒求人倍率が下がるものと思われます。

ターゲット層の応募者を集めることが最大の課題

 次に、2022年新卒採用における課題を見てみましょう。最も多かったのは、企業規模を問わず「ターゲット層の応募者を集めたい」で、全体では41%と2位の「応募者の数を集めたい」(27%)と14ポイントもの差が見られます[図表9]。特に大企業では、「応募者の数を集めたい」が25%に対して、「ターゲット層の応募者を集めたい」は2倍の50%にも及びます(規模別集計は図表略)。

[図表9]2022年新卒採用における課題(複数回答)

 全体では、次いで「大学との関係を強化したい」(23%)、「内定辞退者を減らしたい」(22%)、「採用ホームページをもっとよくしたい」(20%)が続きます。大企業では、このほかに「採用数の根拠を明確にしたい」が35%で、トップの「ターゲット層の応募者を集めたい」に次いで2番目に多くなっています。従来の総合職一括採用から、職種別採用などのジョブ型採用への移行期でもあることも影響しているのかもしれません。
 一方、中堅企業では、「ターゲット層の応募者を集めたい」(44%)に次いで「大学との関係を強化したい」(34%)、「内定辞退者を減らしたい」(31%)が多く、「応募者の数を集めたい」(25%)を上回る結果となっています。昨年は、新型コロナウイルス感染症を警戒して学内セミナーの中止が相次いだほか、キャリアセンター担当者が在宅勤務となり、そもそも大学キャンパス内への立ち入りができない状況が長期間続きました。そのためにキャリアセンターや理系研究室との関係が疎遠になってしまったことが、「大学との関係を強化したい」の裏側にあるものと思われます。「学内企業セミナーの参加大学を増やしたい」についても全体では10%にもかかわらず、中堅企業だけに限れば19%と高くなっています。ただ、今年も学内セミナーはオンライン化されたり、小規模化されたりしていますので、参加大学を増やすことはなかなか難しいといえそうです。

採用活動は「マス型採用」から「個別採用」へ

 これまでは、就職ナビや合同企業説明会でできるだけ多くの採用母集団を形成し、そこから個別の会社説明会へ誘導、エントリーシートや面接を通して一括して選考し内定者を決めていく「マス型採用」が主流でした。これに対して、ターゲット人材が含まれるかどうか分からない母集団を広く形成することに疑問を持ち、ターゲット人材を社員・内定者から紹介してもらうリファラル採用や、逆求人型サイトから個別にターゲット人材にアプローチするダイレクトソーシング、あるいは職種別採用など、就活生らに個別に対応しながら内定者を決めていく「個別採用」を取り入れる企業が増えています。より手間はかかっても、「マス型採用」では採用しきれない層と巡り合えるとともに、個別の密度の濃いコミュニケーションを通してミスマッチを軽減できるというのがその理由です。
 「マス型採用」と「個別採用」のバランスについて聞いてみたのが[図表10]です。「マス型採用に注力する」と「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組む」を合わせて「マス型採用」派、「個別採用に注力する」と「個別採用を主軸にマス型採用にも取り組む」を合わせて「個別採用」派とした場合、全体では「マス型採用」派が47%、「個別採用」派が53%とわずかながら「個別採用」派が多いものの、ほぼ拮抗しているといっていい状況です。

[図表10]マス型/個別採用の状況

 企業規模別に見ると、採用人数の多寡が大きく関係する部分があり、大企業では「マス型採用」派の75%に対して「個別採用」派は25%にとどまり、「マス型採用」派がまだ強くなっています。ただ、中堅企業では「マス型採用」派の50%に対して「個別採用」派も50%とまったくイーブン、中小企業に至っては「マス型採用」派36%に対して「個別採用」派64%と、「個別採用」派のほうが圧倒的に多くなっています。
 「マス型採用」派が4分の3を占める大企業においても、「マス型採用に注力する」は25%に過ぎず、50%は「個別採用にも取り組む」しており、ウエートはともかく「個別採用にも取り組む」企業の割合は75%にも達することになります。「マス型採用に注力する」割合は、もはや大企業においても少数派となっています。

大企業で対面形式が多い理由とは

 ここからは、インターンシップや個別会社説明会・セミナーの実施形式について見ていきます。まず、インターンシップの実施形式を見てみると、全体では「すべてオンライン形式で実施」が52%と半数以上を占め、次いで「すべて対面形式で実施」27%、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」21%となっています[図表11]。

[図表11]インターンシップの実施形式

 企業規模別に見ると、大企業ではいずれの実施形式も33%で拮抗し、中堅・中小企業では全体と同じく、「すべてオンライン形式で実施」が半数以上を占め、次いで「すべて対面形式で実施」が続きます(中小企業は「すべて対面形式で実施」と「対面形式とオンライン形式を混合して実施」は同数)。
 一見すると、大企業において「すべて対面形式で実施」の割合が多いのではと思う人もいるかもしれませんが、これは大企業ではインターンシップの実施期間が「1週間程度」の割合が多いこと(図表略)が起因していると推測されます。「半日」や「1日」のタイプはオンラインでも成立しますが、実際の職場での就業体験を主とする「1週間」タイプのインターンシップの場合には、オンラインでプログラムを完結されることは難しく、「すべて対面形式で実施」するか、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」するかのいずれかにならざるを得ません。大企業で「すべて対面形式で実施」と「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が多い理由をご理解いただけたのではないでしょうか。

オンライン会社説明会はライブ配信が主流

 次に、個別会社説明会・セミナーの実施形式を見てみましょう。全体では、「すべてオンライン形式で実施」が50%で半数を占め、次いで「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が37%、「すべて対面形式で実施」が13%となっています[図表12]。

[図表12]個別会社説明会・セミナーの実施形式

 企業規模別では、インターンシップとはまったく異なる傾向が見て取れます。大企業の実施形式を見てみると、「すべてオンライン形式で実施」が64%と突出しており、次いで「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が36%、「すべて対面形式で実施」はなんとゼロです。
 「1週間」タイプのインターンシップは、職場での就業体験といっても1職場当たりの受け入れ人数は数人程度にとどまるのに対して、会社説明会やセミナーとなると1会場当たりの参加学生数は桁が違ってきます。新型コロナウイルスの感染リスクを考えれば、大規模な会社説明会はとても対面形式では実施できないでしょう。「対面形式とオンライン形式を混合して実施」としている企業の「対面形式」は、大学別OB・OG懇談会など、比較的規模の小さなセミナーの場合であると推測されます。
 最後に、オンライン説明会・セミナーの配信形式を確認します。最も多いのは、講師の説明やパネルディスカッションの模様をリアルタイムに配信する「ライブ配信のみ」で、67%と3分の2の企業が実施しています[図表13]。

[図表13]オンライン説明会・セミナーの配信形式

 次いで、「ライブ配信と録画配信の両方」が26%となっています。こちらの録画配信は、ライブ配信した模様を録画しておいて、後日オンデマンドで配信するという、いわば二次利用型の録画配信が大半でしょう。一方、「録画配信のみ」は、事前に録画配信専用のプログラム(説明会)を録画・編集しておき、後日オンデマンドで配信したものになります。「録画配信」の場合、学生は説明会を視聴するだけで一切質問ができないため、企業は双方向性を意識した「ライブ配信」を重用しているようです。
 録画映像の配信方法には、ライブ配信と同様に配信時刻を指定して配信する方法と、学生側が好きな時間に視聴できるオンデマンド配信の2種類がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。前者は、ライブ配信と同様、視聴者側で動画を自由に進めて視聴することはできませんので、企業からするとすべてのプログラムを視聴させられるメリットがある反面、配信時刻に都合が合わない学生は視聴ができないことになります。
 一方、後者の場合には、学生は好きな時間に、また何度も視聴できるといった学生のメリットは大きいですが、その分、学生の集中力は前者より低くなりがちです。また、学生はプログラムを飛ばして視聴することも可能になってしまいますので、企業からすると見てほしい箇所を飛ばされてしまうリスクがあるといえます。学生の利便性を考えると当然いつでも視聴できる後者のほうが望ましいわけですが、配信タイミングを複数設定することで、配信時刻に都合が合わない学生を低減させることは可能になりますので、私は前者の方法をお勧めします。
 次回は、3月時点での学生の意識、動向をお伝えしたいと思います。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/
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