ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 一昨年にコロナ禍になって約2年間がたち、「新しい日常(ニューノーマル)」がすっかり当たり前になって、既に後戻りができない状況になっていますね。そのことを象徴する事例を一つ紹介します。アップルが、2021年9月から、リモートワークから週3日オフィス出勤を義務づけるように通達したところ、社員の一部グループから反対声明が出て、コロナ感染再拡大もあり結果的に無期限延期になりました。Facebook、Twitterもコロナ感染収束後もリモートワークを無期限で認めるとしているそうです。
 この事例を出したのは、リモートワークが良くてオフィス出勤が悪いということではありません。会社が一方的にことを決めて社員に守らせるのではなく、企業が価値観の多様性を受容しつつ、双方のすり合わせでことを決めていくように変わってきているということです。GAFAクラスの企業でも、そうした潮流の中にあります。
 こうした動きはまさに雇用関係性の大転換による現象だと私たちは捉えており、採用においてもこれまでのように応募者を「マス」として捉えるのではなく、一人ひとりを「個」として捉えることが必要になってきていると考えます。こうした大きな変化への対応、ニューノーマルの形成において、人事が果たすべき役割と責任の重さは、圧倒的に増しています。HR総研では、価値ある情報をこれからもしっかりとお届けしてまいります。本年も何とぞよろしくお願いいたします。

入社後に活躍する自分をイメージできるか

 さて、今回は、HR総研が「楽天みん就」と共同で2021年6月に実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」の中から、「企業の選考を受ける中で、志望度が上がったエピソード」、逆に「企業の選考を受ける中で、志望度が下がったエピソード」、そして「採用する企業側に改善してほしいと感じたこと」を取り上げます。2022年卒学生の本音の声を確認いただき、ぜひ今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。

 まずは、「企業の選考を受ける中で、志望度が上がったエピソード」です。
 前回までの「インターンシップ」や「面接官」の企業好感度ランキングでも取り上げましたが、「フィードバック」を挙げる学生がここでも少なくありません。

・面接中、人事の方がフィードバックをくれるところは志望度が上がった。また、自分の話に相づちをくれたり、逆質問のときに聞きづらい部分を自ら開示してくれたりした会社は印象が良くなった(文系・上位私立大)

・面接の最後に10分ほどその日の面接のフィードバックをいただく時間を設けてくださったこと(文系・早慶大クラス)

・面接の通過連絡の際に、どんな点が評価されたかフィードバックがあった。自分に興味を示してくれていることがうれしかった(理系・早慶大クラス)

 お決まりの質問項目を読み上げるのではなく、学生個々に応じた深掘り質問を投げ掛けることは、自分への興味と受け取られ、有効です。ただし、質問の仕方によっては圧迫面接(追及)と受け取られますので、質問の仕方や態度には十分留意しましょう。

・面接の中で優しく丁寧に深掘りした質問をしてくれると、それだけ興味を抱いてくれていると感じ、うれしくなって志望度が高まった(文系・中堅私立大)

・一次面接と二次面接で、きちんと人事内での連携が取れており、エピソードトークしたときに理解した上での深掘り質問をされたこと(文系・その他私立大)

 一般的に、広報活動であるセミナー・会社説明会と、選考段階となる面接は切り離されて運用されるケースが多いようですが、選考途中に面接ではなく面談を挟み込むことは、学生の不安や質問を解消し、志望度の向上にも極めて有効な施策といえます。

・面接中に、「社員とお会いしたかったけどお会いする機会がなかった」という話をしたら、選考途中であるにもかかわらず個別にOB訪問を設定してくださったこと(文系・早慶大クラス)

・実際の業務について現場社員が登壇し、講義してくれるイベントを選考途中で開催してくれたこと(文系・上位私立大)

・社員同士の会話を聞ける企業は志望度が上がりやすかった。雰囲気は大切にしたいという思いがあり、特に新入社員と上司との会話などがある企業のほうが、内定後の自分の社員像が想像しやすく良かった(文系・その他国公立大)

・最終面接前の面談を開いてくださったこと。聞いておきたいことを聞くことができ、不安なく面接に臨めた(文系・上位私立大)

 学生が目先の合否ではなく、入社後の働くイメージ、自分が活躍するイメージまで持つことができれば、もうこちらのものといえます。

・個別面談の際に社員の方からぜひ入社していただき一緒に働きたいと言われた。また、こちらの働き方の希望(仕事内容や残業等)を話す機会やそれを受けての会社としての考え方、給与について共有してもらえた(理系・旧帝大クラス)

・社長、役員にあなたなら活躍できると思うと言っていただいたこと(理系・旧帝大クラス)

・自分の大学の同じ学科の先輩がどのように活躍しているのかを教えていただいた(理系・上位国公立大)

・社員の方にあなたならこういうふうに活躍できるよとイメージを与えていただいたエピソードは志望度が上がるきっかけになりました(文系・上位私立大)

 会社の将来像への期待や安心感も重要な要素です。

・会社の将来展望が分かってやりがいありそうと感じた。リクルーターと話す中で、副業OKや教育制度など、キャリアアップのサポートが豊富だと知ったことも志望度向上につながった(文系・旧帝大クラス)

・企業の中長期経営計画を示してくれたこと(文系・上位国公立大)

・競合他社について尋ねたときにも親切に対応してくださったため、自社のことだけでなく、就活生のことを考えてくれていると感じ、志望度が上がった(理系・旧帝大クラス)

 新型コロナウイルス対策として密を避けるためにリアルな施設見学の実施が難しい中、オンラインや映像による施設(オフィス、研究所、工場など)見学は、特に理系学生に対しては威力がありそうです。

・企業見学をオンラインで開催していただいたところ(理系・中堅私立大)

・工場見学がなかなか難しい世の中になったので、技術職は会社の様子を見ることが難しい。しかし、ぜひ見てほしいとビデオを作って見せてくれた企業があった(理系・その他私立大)

 女性の応募者に向けては、何でも質問できる女性同士での懇談会が有効です。

・女性社員と女子学生のみの話し合いの場を設けてくださり、女性特有の質問をすることができた(理系・上位国公立大)

・女性社員との懇親会があり、和やかな雰囲気の中、実際の職場環境や福利制度の実態について、自身の体験と共に教えてもらえる機会があり、より身近にワークライフについて検討することができた(理系・旧帝大クラス)

志望度向上に一番重要なのは「人事の印象」

 しかし、何といっても最も影響力があるのは「人事」「面接官」の印象です。

・対面での面接に行くたびに、名前や大学のことを覚えてくださっていて毎回話し掛けてくださる人事の方がいたこと(文系・旧帝大クラス)

・人事の方が一次面接で長い時間をかけて実際の業務の内容などを話してくださったこと(文系・その他私立大)

・面接中に否定されることが一度もなかったこと(文系・上位私立大)

・人事の方や社員の方が優しく丁寧に接してくださったとき(文系・早慶大クラス)

・一次面接でお互いの自己紹介をしあって、趣味や特技など明るい雰囲気で話せる環境を作ってくれた人事の方がいて、とても志望度が高まった(理系・旧帝大クラス)

・面接をしてくださった人事の方が、面接時間を超過しても質問に答えてくださったこと。相談事に親身になってくれる会社なのだなと感じた(文系・旧帝大ラス)

・面接官の社員の方が仕事にプライドを持ち、やりがいを感じているということがこちらにも伝わってきたとき(文系・上位私立大)

 内々定を出した途端に学生に就職活動の終了を迫る「オワハラ」。中にはそれだけ自分に期待してくれていると感じる学生もいますが、多くは以下に挙げるように、寛大な心で、学生に寄り添ってくれる人事、あるいは企業に共感を抱くのでしょう。

・ある会社説明会で、人生の中でこれほど社会にあるさまざまな企業を見られることはこれからもうないから、できるだけ多くの企業、業種を見て、学ぶという姿勢で臨んだほうがよいと言われたことです(文系・上位私立大)

・面接官が私の話を親身に聞いてくださって、「一生に一度の新卒採用だから、自分の合う会社をしっかり見極めてくださいね」と言ってくださったこと(文系・その他国公立大)

・内々定をいただいた後、存分に就職活動を続けさせてくれ、2カ月以上も待ってくれたこと(文系・上位国公立大)

・学生にはほかにも受けている企業があるということを承知した上で、将来を決める大切な時期だからと励ましてくれて、「御社が第一志望です」と無理に言わせないところが良かった(文系・早慶大クラス)

 そして、不合格者には何も連絡しない「サイレント」が横行する中で、選考結果について真摯に対応してくれる企業に、学生は好感を抱きます。

・連絡がとにかく丁寧で早かった(理系・その他私立大)

・選考落選の通知をしない企業もある中、合否の連絡が遅くなりそうで、何日までに結果を通達するという旨のメールをいただいたとき。学生に対し、真摯に対応しているという印象を受けた(文系・旧帝大クラス)

・面接のスケジュールを伝える電話を人事の方がしてくださったとき、毎回同じ方が「次も頑張ってね」と、励ましの言葉を添えてくださったこと。また、質問や困ったことがないかを細かに聞いてくださったこと。最終面接が終わり、内々定をいただいた後でも不安なことがないかと電話を小まめにくださったこと(文系・その他国公立大)

 また、選考に対する考え方も、企業を映し出す大切な鏡となります。

・選考が進んでいる学生限定の説明会の質疑応答の時間で答えきれなかった質問を、後日資料にまとめて全員に配布してくれたこと。しっかり学生と向き合ってくれている感じがして、好感度が上がった(文系・上位国公立大)

・「就活生は忙しくて大変だと思うから履歴書とエントリーシートの提出は求めない。その代わり、面談でたくさんお話ししましょう」と言ってくれる人事の人がいて、就活生にこんなに親身になってくれる企業はほかにないと思った(文系・その他私立大)

面接での役員の態度にも要注意

 今度は、「企業の選考を受ける中で、志望度が下がったエピソード」について見てみましょう。
 やはり人事担当者、面接官の態度を挙げる声が多くなっています。

・上から目線の質問をする面接官(理系・旧帝大クラス)

・面接官の態度や対応が悪かったとき。いきなり興味をなくされた態度を取られたときは戸惑った。志望度の高い企業だっただけに非常に残念だった(文系・上位私立大)

・人によって態度の変わる(話し方が変わる)人事がいたこと(理系・その他私立大)

・面接中にこちらをほとんど見ない、こちら側が話しやすくなる環境を作らない(文系・その他私立大)

・面接の際に明らかに興味がないような態度をとられたこと。なぜか最終面接まで進んだのですが、大したことは聞かれずに面接が終了し、そこで落ちてしまったのがすごく謎でした(文系・旧帝大クラス)

・ロボットのように質問を投げてくるだけでコミュニケーションをしない面接官に出会ったとき。面接時にあからさまにつまらなさそうな顔や反応をされたとき(文系・中堅私立大)

・面接官のテンションが低い、やる気が感じられない場合、説明を聞いてもらえているのかよく分からず、不安になる。また、そのような雰囲気の会社に勤めたいとは感じにくいと思います(理系・その他国公立大)

 圧迫面接を挙げる学生も少なくありません。

・圧迫面接をされたこと。威圧的な態度や不愉快な態度を取る面接官がいると、この会社に入ってもこういうことをされるのかと思わざるを得ないし、一気に志望度が下がった(文系・早慶大クラス)

・面接官の対応が悪かったり、圧迫面接をしたりするような企業は志望度が大幅に下がる(理系・その他私立大)

・あまり話を聞いてくれる態度ではなかったり、圧迫気味だったりすると志望度が下がった(文系・その他私立大)

・説教じみていて、相手がひたすらしゃべるだけで、自分はほとんどしゃべらせてもらえない面接。しゃべってもそれは世間知らずだと言われ、正解が分からなかった(文系・早慶大クラス)

 人事や社員面接官だけでなく、最終面接の社長や役員へのコメントも多くなっています。社長や役員へはなかなか進言しづらいかもしれませんが、せっかくここまで築いてきた学生との信頼関係が崩れてしまっては意味がありません。ぜひ共有していただければと思います。

・最終面接の役員の態度がひどかったこと。学生を下に見下したようなしゃべり方、貧乏ゆすりまでしてふんぞり返ってこちらの話を聞いていた。学生はマナーを守り、丁寧な言葉遣いを意識して面接に望んでいるのに、企業側のこのような態度は許せなかった(文系・上位私立大)

・社長が傲慢(ごうまん)な方だった。とても優秀な方だが、この人について行くのは無理だと感じた(文系・上位国公立大)

・座談会に出てくる社長さんの話が意味不明だったこと。伝えたいことが多いあまり、まとまっておらず、なぜこの人が社長なのだろうか、この企業に就職しても大丈夫なのだろうかと不安に思った(文系・中堅私立大)

・説明会や1次、2次面接などで接した人事の方や若手・中堅社員の方たちから良い印象を受けていたのに、最終面接の役員の態度が悪く、魅力を感じられなかったとき。このトップの下で働くのかと想像すると、嫌だなあと思ってしまった(文系・上位私立大)

不明確な選考フローも影響

 面接官だけでなく、セミナーや会社説明会、座談会等に登場する社員によって志望度が大きく下がることも挙げられています。

・やはり働いている人の目が死んでいる人が多いと感じたときは入りたいとは思えなかった(文系・その他私立大)

・大学OBのリクルーターが付いて面談形式で面接やESのアドバイスをしてくれた。しかし、5人のリクルーターが好き勝手にそれぞれアドバイスするせいで時間の無駄だった。自分たちが大企業勤めで高給取りなのを笠に着て、上から目線で感謝しろ感を出してきたので、このような先輩たちと一緒に働きたくないと思った(理系・その他国公立大)

・事業内容や業務に対しては好印象であったものの、社員の方が他の学生の前で一学生をひいきしたり、下げたりしているところを見て、このような環境では働きたくないと感じました(文系・早慶大クラス)

・一次面接後の面談で、社員が自社の魅力について福利厚生面と勤務時間のことしか触れなかったとき。自社のサービスのことについて自信がないんだなと思ってしまった(文系・上位私立大)

・社員座談会において、社員の方がこの企業は将来性がないというお話をされていて、現実的な意見として参考にはなったものの志望度は下がりました(理系・その他国公立大)

・若手社員のインタビューであまり会社に満足していなさそうだった。説明者の雰囲気的に楽しそうでなかった(理系・その他国公立大)

 選考フローの不透明さや、選考結果通知の遅れ、ちゃんと選考してくれているのかが疑わしい場合も、学生の志望度を下げる要因になっています。次に挙げるエントリーシートの合否については、誰から見てもあり得ない不誠実な対応といえるでしょう。

・2000文字のエントリーシートを提出した翌日にお祈りメールをもらった企業に対して、不誠実な印象を受けた。企業規模から見ても多くの応募があったと思うので、明らかにエントリーシートを読んでいない(理系・その他国公立大)

・選考が不透明であることです。何回面談や面接をすれば終わりなのか分からずに選考し続けるのが苦痛で志望度が下がりました(文系・中堅私立大)

・面接官の対応が悪かったこと。選考フローが明確ではなかったこと。選考中の企業のグループ会社からのエントリー勧誘のメールがしつこかったこと(文系・早慶大クラス)

・1週間以内に合否の連絡をすると言われたが、3週間たっても連絡がなかったこと。入社後もこのような対応をされるのかと不安になった(文系・中堅私立大)

・エントリーシートの提出期限が24時間だったとき、学生のことをあまり考えてくれていないと感じた(文系・旧帝大クラス)

・対面面接の設定を数日前に突然言われ、日時指定も一方的で、地方の就活生の事情を全く考慮してなかった企業。すごく上から目線な感じがして、就活生への配慮が欠けていると思った。社風がこういう感じなのかと思い志望度は下がった(文系・旧帝大クラス)

・6月まで「面接」を行わないと公言していたのにもかかわらず、「面接」ではない名称で選考を行っていた企業や、内定を承諾するのに辞退待ちが必要といううわさを聞いた企業があり、就活生を欺くような選考活動に感じ、志望度が下がった(理系・旧帝大クラス)

オンラインならでは理由も

 オンラインでインターンシップや説明会、面接を行うことが当たり前になっていますが、オンラインならではのコメントも散見されます。

・通信状況の影響で質問が聞き取れなかったため聞き返したところ、面接官が顔をしかめたこと(文系・その他国公立大)

・オンライン説明会で社長が1時間くらいずっと話しているような企業は働きにくそうだと感じた(文系・その他私立大)

・オンラインにもかかわらず1日8時間以上拘束される複数daysインターンシップに参加し、かなり辛く感じたため、志望度が下がった(文系・中堅私立大)

・Zoomでの面談や面接時、入ってくるのが遅いのに、終わったら即切るといった行動(文系・その他国公立大)

・面接やインターンなどであまりにも通信状況が悪く、意味をなさない時間になったこと(文系・早慶大クラス)

・IT企業の説明会担当者がZoomの使い方を理解していなかったこと(文系・中堅私立大)

・明らかに学生をキープしていると感じた企業に対しては志望度が下がった。「みん就」などで、学生間で連絡時期などが共有できるので、明らかに即連絡されている学生と、キープ目的で数週間後に連絡をされている学生がいる企業もあった(理系・旧帝大クラス)

 そして、近年、従来からの就職ナビを凌駕する勢いで伸びてきている「クチコミサイト」の影響も見逃せません。

・企業の口コミを見て、説明会と乖離した部分があり、志望度が下がったことがありました(文系・その他国公立大)

・ネットの口コミに悪い事ばかり書かれていた、社員の方の表情が暗かった(文系・中堅私立大)

・社員の口コミを見て、説明会の内容と実態が乖離している場合は志望度が下がり、大抵は選考辞退するケースが多かった(理系・上位私立大)

 せっかく最終面接まで進んでも、そこでの合否連絡に疑問を持つ学生や、内定後の企業の態度に不信感を持つ学生もいます。

・最終面接で会社まで行き対面で行ったのに、合格の人にのみ連絡をする、と言われ実際にサイレントだったこと。今まで情報収集や面接に時間とお金をかけてきたのに、メールの一通も送らないという態度から、合格でも行かなかっただろうと思った(文系・早慶大クラス)

・最終面接で落ちてしまったが、そもそも最終面接なのにもかかわらず合格者のみに通知といわれここまで頑張ってきた人に対して失礼であると感じた(文系・早慶大クラス)

・内定承諾を迷ってよいと数日時間をもらい、真剣に考えようとしていたところ、毎晩電話がかかったり、メッセージがきたり、とても待ってもらっているというよりは断れない、忘れさせないようなアプローチをされ、疲れてしまい志望が下がった(文系・早慶大クラス)

・最終面接合格後、就活を続けながら検討したいと伝えると失礼な対応をされた(理系・旧帝大クラス)

やはり多いのはサイレントへの悲痛な叫び

 最後は、「採用する企業側に改善してほしいと感じたこと」です。前述の「志望度が下がったエピソード」と相通じる部分が少なくありません。自社でもこのような対応をしていないか、今一度確認してみてください。
 最も多かったのは「サイレント」に関するもの。期限が区切られないサイレントへの戸惑いや怒りが伝わってきます。

・本気でサイレントをやめてほしい。あと結果が遅すぎるのも本当にやめてほしい。気が気じゃない時間が多すぎて、辛抱強く待って落とされたときの気持ちをもっと考えてほしい。だから就活で鬱になる人が増える(文系・上位私立大)

・いわゆるサイレントお祈りはやめてほしい。こちらも時間を割いてESを書いているのに、メールを送ることすら惜しむのは意味が分からない。ラブレターを書いたのに破り捨てられ放置されているのと同じ(文系・上位私立大)

・次の選考に進める場合はもちろんだが、選考に落ちてしまっている場合でもなるべく早く連絡をしてほしいと感じた。明らかに連絡ができるのに後回しにされていると感じた企業が何社かあった(文系・上位私立大)

・サイレントお祈りやめてほしい。一言不合格とだけでも伝えてほしい。周りから情報も得にくい中、「落ちた」「落ちてない」の判断を自分でしないといけないのは大変だし、つらかった。次の選考までの連絡がすごく空くのも困った。フローも不透明なため、不安が募るばかりだった(文系・旧帝大クラス)

・面接結果は合否にかかわらず連絡してほしい(俗に言うサイレントお祈りをしないでほしい)。特に最終面接後において、補欠枠として企業側がキープしているのであれば、「補欠」と連絡してほしい(理系・旧帝大クラス)

・合格と不合格の連絡を時差で出す、または不合格の人にはメールを送らないのはなぜなのかが本当に分からないです。就活生の立場から見ると信頼を失いかねません。特にメーカーは買う気が減退します。合格・不合格共に連絡するのが基本だと思います(文系・早慶大クラス)

 選考フローを明確にしてほしいという声も目立ちます。

・内定を知らせる期間が1カ月近い会社があり、補欠要員のためなのかもしれないが待っている身としては気が気でないので落ちているなら早く知らせてほしい。精神的にかなりしんどい(文系・上位私立大)

・選考フローが不明確なことが多かったので、選考フローを明確に提示していただきたい。また、面接後1カ月以上連絡がなかった企業から突如選考通過の連絡がくることがあったため、選考通過連絡の期間の区切りをつけていただきたいと感じた(文系・上位私立大)

・それぞれの面接の予定日程を教えてほしかった。面接通過の連絡と同時に次選考の案内があり、メールが来た3日後のその日しか面接日が選べないというようなことがあったので、急に予定を合わせるのが大変だった(文系・上位私立大)

・次回選考の日程が1日しかないのに直前に連絡されること(理系・旧帝大クラス)

・選考フローの透明化をしてほしい。突然内定を出されてオワハラを受けるとこちらとしても困る(理系・旧帝大クラス)

非通知電話の使用は慎重に

 オンライン説明会の内容や、企業側の通信環境の改善を求める声も少なくありません。オンライン面接時にカメラオフで参加している担当者や、不鮮明なカメラ映像にも指摘が及んでいます。

・会社説明会では企業HPを見れば分かることではなく、実際に各部署の社員のスケジュールや、社員の働いた中で起こった事例など、働くイメージが湧く話をしてもらえると志望しやすいと感じた(文系・上位私立大)

・説明会は1時間から2時間程度で納めてほしい。それ以上は蛇足だと感じることをしている企業が多かった(文系・上位私立大)

・オンライン説明会(録画型)の内容をより具体的にしてほしい。住宅手当や福利厚生、ボーナスは何カ月分などが知りたい(理系・その他国公立大)

・長すぎる企業説明会を短く。4〜5時間は持ちません!(文系・早慶大クラス)

・社員と選考関係なく1対1で話せる機会をもっと設けてほしい(文系・旧帝大クラス)

・電波を万全な状態で説明会を開催していただきたかったです(文系・早慶大クラス)

・オンライン面接のURLは早めに送ってほしい。一次選考の個人面接で面接官2人のほかにカメラオフで6人くらい見ているのは緊張するからやめてほしい(文系・その他私立大)

・オンライン面接の際に、ハウリングがすごく、集中して面接を受けることができなかった(文系・中堅私立大)

・オンライン面接では、一人一つのカメラに映ってほしい(理系・上位国公立大)

・音声やカメラのテストを事前にしてほしい。ほとんど聞き取れない社員の方に何人も遭遇した(理系・旧帝大クラス)

・オンライン面接で画面を鮮明にしてほしい(文系・その他国公立大)

・多くの企業で、当日のZoomのURLを間違われることが多々あった(文系・上位私立大)

・オンラインでグループ面接をする必要性はあるのか(文系・中堅私立大)

・オンラインのインターンで、一人の顔しか映らない設定で進められたのがやりにくかった。オンラインイベントやインターンは学生にとってもやりやすい環境を整えていただきたい(文系・早慶大クラス)

・Teams、Google Meet、Zoomなどさまざまなソフトではなくて一つに統一してほしい(文系・上位私立大)

 電話に対する意見も目立ちます。多分、面接の通過連絡を外部にアウトソーシングしているからだと思われますが、非通知での電話連絡に対して折り返しの連絡ができないことがストレスとなっています。そもそもアウトソーシングしているとは、学生は考えられないのではないでしょうか。

・非通知電話でかけてきたり、留守電に折り返しするなという旨を入れたりすること。折り返しの電話があると人事の業務が増えて大変なのは分かるが、学生はいつでも電話に出られるわけではないし、合否を伝えるような大切な連絡を待っているとき、電話に出られなかったことに対し不安に駆られる。折り返しの対応ができないのなら、すべてメール等で学生とやり取りしてほしい。また、社員のプライバシー保護のためにどうしても非通知でないといけないのから、先ほど電話をかけたのは当社ですというメールをしてほしい(文系・早慶大クラス)

・非通知で電話をかけてくること。いつでも電話を取れるわけではないし、かけ直せないのも不便である(文系・早慶大クラス)

・電話に出られなかったのですぐ折り返したら、「担当の者が在宅勤務をしているため、○時までに連絡します」と言われたのに連絡が来ず、10日待たされた(理系・上位国公立大)

・内定連絡以外は、電話ではなくメールで連絡してほしい(文系・上位国公立大)

 最後に、企業の姿勢を問う声を二つ紹介して終わりにします。

・選考正式解禁前の明らかな選考活動・面接を、「ジョブマッチング」や「面談」といった言い換えでこそこそごまかし、あまつさえ学生に対し「これは選考ではないのでリラックスして」などと言い訳がましくのたまいながら行うことはやめてほしい。やるならスケジュールを守らないことを明確に宣言してからやってほしい(理系・上位国公立大)

・大学はそもそも勉強するところなのだから、早くから就職活動することを求めないでほしい。就職活動のために大学を過ごす人ではなく、大学でやるべきことをやった人を評価する姿勢を明確にするべき。そうすると学生の質が上がると思う(文系・上位私立大)

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/
ジンジュール