目標であり、ライバルであり、反面教師であり――。さまざまな親子のカタチがあるけれど、自分の人生は“母から自立できたとき”に始まります。そんな母と娘の関係について話を聞きました。題して「“母”が歩いた道、私が歩く道」。

「一緒にいると疲れることも多い人ですが、私にとっては“母という友達”ですね」

『アウト×デラックス』(フジテレビ系)や『サンデージャポン』(TBS系)で母娘共演もおなじみの、タレントの矢部みほさん(41)。母・文子さん(69)はバツ4という波瀾万丈な経歴の持ち主だが、矢部さんは現在も同居しているというからまさに一心同体。この関係は、どうやって育まれたのだろう。

「物心ついたときから、母は私にとって“母親”ではなく“女”だったんです。というのも、父に暴力を振るわれて、私たちを置いて家から逃げ出すことがしばしばありましたから。そんな母を見て、私と弟、妹2人の4人きょうだいは、『自分たちがしっかりしなきゃ』と考えていたことを覚えています。でも、誰も母を恨んだり、嫌うことはなかったんですよね。それは、やっぱり母にしかない温かみや、独特のパワーを感じていたからだと思います」

その例をたずねると、矢部さんは困った顔をしつつも、楽しそうに語ってくれた。

「たとえば、サービス精神がすごいところですね。テレビに出させていただくときも、母は毎回、ギャラを全部つぎこむぐらい大量の差し入れを持っていくんですよ。そして、人を引きつける力も強い。以前2人で仙台を歩いていたら、母が先に気づかれて、10人ぐらいに追いかけられました。いま私1人でそんなことはないので、すごいなと(笑)。おまけに誰でもウエルカム。『写真? どんどん撮っていいですよ!』と言っちゃうんです。さすがに『私がちゃんとした格好をしていないときは勘弁して〜』と、あとでお願いしましたけれど」

そんな2人の同居歴は、なんと約20年! これから同居ならまだしも、文子さんが上京以降、ずっと一緒なのは、いったいなぜ?

「母は自称『霊感がある』ため、絶対1人では暮らせないんです。1年半だけ母と妹で暮らしたこともありましたが、妹が結婚したので私がまた同居することに。最近、ご近所の方が相次いで亡くなったのですが、『怖くてお宅の前が通れない』と、タクシーで遠回りして帰ってくるので、失費がかさんでもう大変です。『それじゃあ、この先どこも歩けなくなっちゃうじゃない!』と言ったら『そうなのよ、どうしよう!』って」

あらゆる面で、一家の大黒柱はもはや娘。だが矢部さんは、それでも文子さんを「人間としてすごいと思っているんです」と慕う。

「気ままなのに温かくて、面倒だけど、憎めない。どんな話も受け入れてくれる、いい意味で“変人”。母を嫌いな人なんていないんじゃないかと思うんです。実際に、私が経営するバー『YABEKE』では開店当初からママをお願いしていますが、いまや母が目当てのお客様ばかり。そして、母のおかげでテレビの仕事にもつながっているので、本当に感謝しています」

もはや「仲よし」を超越し、お互いになくてはならない関係という母娘。今後のことを尋ねると。

「もし、私が結婚することになっても、もれなく母がついてきます。かなり大きなオマケですけれど、1人じゃ寝られないというんだから、もうしょうがないですよ(笑)」

一言でいえば「愉快な仲間です」と矢部さん。母と娘の愉快な関係は、これからも続いていく――。