「テレビ番組での発言を聞いてビックリしました。勸玄くんとのダブル襲名を控えるなか、市川宗家の当主として言ってはいけないことだったのではないでしょうか」(梨園関係者)

市川海老蔵(43)の発言が波紋を呼んでいる。

海老蔵は3月21日に放送されたトーク番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演。広瀬すず(22)や松田龍平(37)と子育ての話で盛り上がるなか、こう語ったのだ。

「(勸玄が)『歌舞伎をやりたくない』って言ったらOK。全部OKにしておこうとは思ってる」

昨年に海老蔵は十三代目市川團十郎白猿の襲名を、長男・勸玄くん(8)は八代目市川新之助の襲名を予定。大々的な襲名披露興行も計画されていた。

だが、新型コロナウイルスの影響ですべて延期になり、いまも見通しが立っていない。そんな状況下だけに、海老蔵の発言は梨園に衝撃を与えたという。

「今期こそはどうにか開催までこぎつけたいというときに、堂々と跡継ぎに対して『やめていい』と発言するなんて……。『“宗家の当主失格”の無責任な放言だ』との声が贔屓筋からも多く上がっています」(前出・梨園関係者)

いったいなぜ、このような発言が飛び出したのか。その背景には、海老蔵による“父親としての複雑な思い”があるようだ。

「勸玄くんと同様、海老蔵さん自身も市川家に生まれたときから歌舞伎役者になることが決められていました。5歳で初めて舞台に立ち、その後も厳しい稽古を日々積み重ねてきたのです。10代のころは同年代の友人のように自由に遊べなかった。そんな環境に嫌気が差し、反発を繰り返していたそうです。『ボクらの時代』でも海老蔵さんは、“稽古があまりにもつらくて公演前日にいきなり家からはだしで逃げ出した”というエピソードを披露していました。

そうした伝統ある家で周囲から押さえつけられながら育つ息苦しさを、海老蔵さんは身をもって知っています。だからこそ、『勸玄には自分がやりたいと思うことを精一杯やってほしい』という気持ちが強いのです」(別の梨園関係者)



■襲名披露興行延期による損害額は30億円とも…

実際、海老蔵は周囲にこんな親心をもらしていたという。別の梨園関係者が続ける。

「以前から海老蔵さんは『勸玄に歌舞伎役者の素質があるのかどうかはまだわからない。だから、もし向いていないのならば将来的に継がなくてもいい』と言っていました。逆に言えば『勸玄に歌舞伎とは別の才能があるなら、親としてできる限り伸ばしてやりたい』と考えているのです」

また勸玄くんが歌舞伎をこのまま続けていけば、いずれは海老蔵の後継者として市川宗家の当主になる。将来その重責を背負わせることについても海老蔵には迷いがあるようだ。

「昨年のダブル襲名披露興行が延期になったことによる損害額は、総額30億円を超えるとも報じられています。歌舞伎を支える三味線や大道具の方々も廃業の危機に追い込まれ、さらには多くの弟子たちも無収入になりました。それらすべてが、当主である海老蔵さんの両肩に重くのし掛かっているのです。歌舞伎界の頂点に立つ市川宗家の当主になることは、それだけの重責を担うということ。愛する息子に継がせるにあたって、悩むことは仕方のないことだと思いますよ」(前出・別の梨園関係者)

勸玄くんの幸せを第一に考えるがゆえの“歌舞伎をやめてもいい”宣言。だがいっぽうで、海老蔵は周囲に宗家の当主としてテレビ発言とは真逆の本音も語っているという。

「彼は『市川宗家は何がなんでも守る』とも言っていました。かつての海老蔵さんは何かと反発してきましたが、祖父である十一代目市川團十郎さんの芸に魅了されて『自分もふさわしい芸ができるようになりたい!』と思うようになりました。

そのときから彼の中で團十郎という名跡は『守らなければならないもの』から『守りたいもの』に変化していったのです。だからこそ海老蔵さんは勸玄くんに歌舞伎を無理強いしたくないと言っているものの、やはり本音の部分では継いでほしいと思っています。つまり、“父親”と“宗家の当主”の狭間で葛藤しているのです」(前出・別の梨園関係者)

コロナ禍で襲名への道筋が見えないなか、2つの顔を持つ海老蔵の苦悩は続きそうだ。

「女性自身」2021年4月20日号 掲載