5月18日、俳優の田村正和さんが4月3日に心不全で東京都港区の病院で亡くなっていたことがわかった。77歳だった。

田村さんは'61年に映画『永遠の人』でデビュー。80年代には、『眠狂四郎』(関西テレビ、東映)や『鳴門秘帖』(NHK)といった時代劇ドラマで存在感を発揮。平成に入ってからは、人気シリーズ『古畑任三郎』(フジテレビ系)や『協奏曲』(TBS系)、『そうか、もう君はいないのか』(TBS系)など多くの作品で人気を博した。

しかし'16年3月放送の『松本清張ドラマスペシャル・地方紙を買う女〜作家・杉本隆治の推理』(テレビ朝日系)に出演以降、田村さんは表舞台から姿を消していた。そのため、健康状態を不安視する声が上がっていたのだ。

本誌は'17年4月、そんな田村さんの“激やせ”ぶりを報じている。

当時、自宅近くでウォーキングに励んでいた田村さんを目撃。スポーツウェア越しでもわかるほど、その姿は痩せ細っていた。田村さんは記者の直撃に苦笑しつつも、こう語ってくれた。

「よく言われる。体重も下がったしね。今は52kgぐらいかな。歳を取ると、やせる人と太る人がいるでしょう。俺はやせたんだよね」

'18年2月に放送された『眠狂四郎 The Final』(フジテレビ系)が遺作となってしまった田村さん。その撮影は、病と闘いながら挑んだという。

「田村さんにとって大切な代表作なだけに、『最後の作品にする』と意欲を持って撮影に臨んでいたといいます。役者としてプロ意識が高い田村さんは、『俳優をやっている間は体にメスを入れたくない!』と撮影期間中は手術を拒んでいたようです。撮影が終わったことで、ようやく手術を決断したといいます。奥さまを安心させたいという気持ちもあったのでしょう」(田村の知人)

田村さんは'19年6月、本誌に心臓手術を受けたことを明かしている。その日も田村さんは、午前中からウォーキングに励んでいた。記者が体調について訊ねると、快くこう答えてくれた。

「う〜ん、それは普通かな。前に心臓を悪くして、手術もしたからね。だから無理はできないんです。生きるうえで、体はいくつになっても大切だからね」

穏やかな老後を過ごしていた田村さんは、“死生観”についてもこう語ってくれた。

「僕はもう、やり切ったから『静かに死にたい』っていう感じかな」

そして「あとは静かにフェードアウトするだけだね」と役者としての再起を否定し、こう続けた。

「映画もテレビもやったし、舞台もやった。昭和から始まって、平成まで。もう十分じゃないかな。令和はまだだけれどね。フフフ」

およそ半世紀にわたって、役者人生を全うした田村さん。その活躍は多くの人々の心に刻まれている――。