最近の芸能ニュースを見ていて、芸能人の“意外な告白”を目にする機会が増えたと感じる人はいないでしょうか。

たとえば「私は親との関係に実は長年悩んでいました」と、毒親告白をする人。たとえば「子育ては毎日戦争のようで、自分のケアなんて全然していません」と、現実感のある子育てを告白する人。はたまた不妊治療であったり、セクシャルの問題であったりを告白する人などなど。

数年前までは暴露といえば、恋愛ネタが定番でした。しかし、最近はパーソナルな告白をする芸能人がバンバン増えています。一体なぜ、このような流れが出てきたのでしょうか。

■なぜ芸能人がこぞって私生活を告白し始めたのか

たとえば毒親問題であれば、お笑い芸人の青木さやかさん(48)が厳しかった母親との軋轢を積極的に発信。毒親問題に悩む方から、共感の声を集めています。また吉川ひなのさん(41)も過去に両親から経済的に依存されていたと、5月に上梓した著書で告白しています。

子育てで言えば菅野美穂さん(43)や北川景子さん(34)など、その数はもっと多くなります。女優といえば、以前は私生活がミステリアスなイメージもあったもの。主演クラスの女優さんたちが子育ての苦労をバンバン吐露するようになったのも、時代の流れの変化といえるでしょう。

こうしたある意味での“告白ブーム”がなぜ起きているかというと、芸能人の人気に「共感」が強く絡むようになってきたこと、そして芸能界の「仕組み」が以前とは変わってきていることなども要因として考えられます。

そもそも人気を構成する要素は女優、モデル、芸人、それぞれの立場によって昔は違ったものです。しかし今はどの職業においても、「共感」がとにかく必要な時代です。

またこの共感を抱く前段階で憧れの要素が強ければ強いほど、多くの人は自分と同じような境遇や気持ちを見つけたときにギャップから、共感と合わせてその人をまるごと好きになるように思います。

その際たる例が、女優さんによる本音の子育てトークでしょう。「あの人も私と同じで大変なんだ!」という気持ちを強く抱いたお母さんたちがこぞって応援する流れは、最近よく目にするものです。



■ネットで発信するか、マスメディアを使うか

こうした共感を大切にする文化のなかで誰しもがネットを活用しているわけです。その際にマスメディアで本音を告白するというのは、SNSで告白するよりも爆発効果が大きい。そして反響も得やすいというメリットがあります。

とにかく今は芸能人として取り上げられる人も増えましたし、芸能ニュースも情報過多な時代です。そのため「取り上げられやすい話題を!」となったときにセンセーショナルな自分の話をするのは、うがった見方をすれば“効率が良い”といえます。

また芸能人は現在、さらなる細分化の時代に直面しています。テレビとYou Tube、TwitterとInstagram。どこを主な活動場所にするのかということ。また「自分といえば」といった発信ジャンルを設けることも、共感や興味関心を引く要素として重要です。

そうなったときにパーソナルな話から1つのジャンルを確立することは、今では注目のフックとして大きなメリットを持っているといえるのです。



■ネガティブな起爆剤の先に待っているもの

ただこうした個人的エピソードの告白というものは当然、リスクもあると思っています。それは需要に自分が引っ張られすぎてしまい、告白が過激になりすぎるケースもあるという点です。

これは、恋愛匂わせ告白でよく起きること。「私モテるんです」「実はいろんな人と遊んでいて」的な匂わせエピソードで注目されるタレントさんは、昔も今も定期的にいるものです。過去には橋本マナミさん(36)や元SDN48の芹那さん(36)などが、こうした匂わせで注目を集めました。

それ自体は良いのです。ただエピソードが話題になると当然のように、「もっともっと」と需要が高まっていきます。

それに答えていくと話がだんだんと過激になったり、ネタを求めた行動に走ったりするようになります。そうして気づくと自分を確立するためにやっていたはずが、自分を見失わせている……なんてケースもあります。

現に橋本マナミさんは結婚後に、“愛人キャラではあったものの、過激なエピソードや要求があったことに当時は悩んでいた”と告白しています。

ポジティブな告白であればどんどん過激になっても、それはそれでプラスの要因がありそうです。しかし毒親問題や過去の辛いエピソードなどの場合、過激になった先にあるのは苦しさの増大かもしれません。

そうならないためにも、あくまでも暴露は起爆剤程度と捉え方をしていたほうが精神的には安全かも……。ニーズに乗り続けなくてはいけない芸能人って、そう考えると大変な時代に生きているのかもしれません。

(文:おおしまりえ)