「長引くコロナ禍において、免疫力を高め、気分転換を図るためにも、バスタイムを有効活用しましょう。シャワーだけで済ませるのではなく、お湯をはった湯船にきちんと浸かることで、心と体にたくさんのメリットが得られます」

温泉療法専門医で東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉先生はそう話す。早坂先生は入浴の健康効果を20年にわたり研究している入浴法のエキスパートだ。

人間には自律神経があり、アクティブモードの「交感神経」と、リラックスモードの「副交感神経」がバランスを取って人間を生かしてくれている。衣服を身に着けない浴室では、心と体が解放的になりやすい。プライベートな密室空間にいることで、気持ちが落ち着き、気分転換も図れる。

しかも、水中では体重が約10分の1になるため、入浴での浮力作用により重力から解放される。筋肉や関節の緊張が緩めば、さらにリラックスして副交感神経が優位になるのだ。

「このように、自律神経に働きかけるという点は、瞑想法の一つで企業などでも導入されている『マインドフルネス』に通ずるところがあります。深い呼吸をしながら心身をリラックスさせ、自律神経を整え、ストレス解消などの効果が得られるマインドフルネスを入浴のシーンに取り入れる、いわば『マインドフロ(風呂)ネス』として私は入浴習慣をおすすめしています」

副交感神経が活発に働きだすと、昼間に交感神経が活発化して酷使された心身の機能を修復してくれる。さらに、副交感神経が優位だと、血管が拡張して血流が促進される。その結果、免疫力がアップするのだ。感染拡大が予断を許さない状況の新型コロナウイルス対策としてもぜひ取り入れたい。

入浴による健康効果は医学的な研究からたくさん実証されるようになったが、早坂先生は’12年に「毎日のお風呂(湯船に浸かる)の生活習慣と幸福度の関係」を調査したという。

内閣府の国民生活選好度調査として測定している幸福度と同じ方法で調査したところ、週7回以上お風呂に入るグループで幸福度の高い人の割合は54%、お風呂に入るのが週7回未満のグループで幸福度の高い人の割合は44%という結果が出た。

「毎日お風呂に入っている人のほうが幸福な人が10%も多いことがわかったのです。血液の循環がよくなると、新陳代謝が活発になり、体の疲れがとれてスッキリしますし、重力から解放されてリラックスできます。これらを毎日積み重ねることが幸福感につながっているとも考えられるでしょう」

さらに、早坂先生は千葉大学と長期的な生活習慣に基づく調査を遂行。1万4,000人弱の高齢者を調査したところ、毎日湯船に浸かる人は、3年後に要介護になるリスクが29%も低かったという。

「毎日のように湯船に浸かる習慣を持つ国は、広い世界で日本だけ。全国各地、ほとんどの家に浴槽が設置され、毎日のようにお湯をためて入浴するという習慣が定着することが健康増進につながり、日本人の長寿に貢献したと考えられます。『マインド風呂ネス』は健康寿命を延ばすともいえるのです」

毎日無理なく継続的に実践できる最高の健康法が、入浴なのだ!

「女性自身」2020年12月15日号 掲載