「当たり前ですが、手の5本の指にはそれぞれ筋肉があり、その筋肉は体幹部の筋肉へと筋膜でつながっています。だから、どの指を使うかによって、体調や体形にも影響が出てくるんですよ。なかでも意識したいのが親指です」

そう話すのは、筋肉の構造に詳しく、“身体調律家”としても人気のトレーナー・木村祐介さんだ。

「親指に力を入れてにぎってみてください。自然と肩に力が入りませんか? 親指のつけ根にある“母指球筋”は“上腕二頭筋”、そして“小胸筋”へとつながっていますから、親指に力を入れると、連動してそれらの筋肉にも力が入るのです」

小胸筋は肩甲骨を開く筋肉で、肩甲骨が開くと背中が広く、丸くなる。

「つまり、猫背ということですが、肩が内側に入ることで、肩コリが生じます。また、このときバランスをとるために首は後ろに傾くので、首がこりやすくなり、首の後ろにシワができます。さらに、首は腰と連動していますから、最終的に腰痛の原因にもなりうるのです」

背中が丸くなり、首が後ろに傾く……想像すると、おばさん体形そのものだが、影響はそれだけにとどまらない。

「小胸筋は、かみしめる筋肉である“咀嚼筋”ともつながっています。つまり、親指に力を入れると“食いしばり”が起きやすくなる。歯が必要以上に摩滅し、歯ぎしりの原因にもなるのです。また、口が自然と“イ〜”の形になるので、ほうれい線が深くなり、この緊張状態は、眉間にシワをつくることにも……」

肩がこり、首がこり、腰痛を引き起こし、シワができるとは、惨憺たる負の連鎖ではないか。そこで次のチェックリストを。あてはまる人は、親指を使いすぎかも。

【「親指の使いすぎ」チェックリスト】 □ 猫背である □ 気がつくと奥歯をかみしめている □ 二の腕がたるんでいる □ 字を書くと疲れる □ 肩がいつもこっている □ 肩が上がり、ひじが張っている

また、指と同時に、手全体を意識することも大切だという。

「手の甲側にある筋肉は、肩や首のまわりの筋肉へとつながっています。逆に、手のひら側の筋肉は、バストのすぐ上にある大きな筋肉へとつながっています。『手を開いてみてください』と言うと、多くの人が開くと同時に手を反らせる。つまり、手の甲からつながる筋肉を駆使しているということです。この筋肉は親指と同様、使いすぎると肩や首まわりがこり、もっさりしたおばさん体形に。逆に、手のひらを意識して使うと、胸が上がり、首が伸び、姿勢がよくなります。日ごろ、手のひらをさするなどして刺激し、感度を高めることがポイントです」