厳しい暑さで体がだるい......、という日が続いていませんか? それ、じつは放っておくと危険なうつの症状かもしれません。コロナ禍のストレスも相まって、気持ちが沈みがちなこの時季は、いつもの食材の相乗効果を上手に活用して、必須栄養素を効率よく摂取しましょう―ー!

「夏になると不眠や食欲不振を訴える患者さんが多くなります。特に今年は、新型コロナウイルスによるマスク習慣のストレス、巣ごもりなどの環境の変化、人と会う機会が減ることによる孤独感などから『夏うつ』の症状を訴える患者さんが急増しています」

そう語るのは、日本栄養精神医学研究会会長で、山口病院(埼玉県川越市)の副院長、奥平智之先生。夏バテはよく耳にするが、夏うつとは、どんなものなのか?

「夏うつとは、夏特有のストレスからくる不眠や食欲不振、倦怠感などの体の不調に加えて、持続的な憂うつ感、意欲や興味関心の低下など、心の不調を伴う、うつ状態のことです。夏の暑さによる主に体の不調である夏バテとは異なります。見過ごしやすいので注意が必要です」(奥平先生・以下同)

夏うつを招く要因として“夏の5大ストレス”があるという。「日射」「暑さ」、クーラーや冷たい飲食物による「冷え」、室内と屋外の「寒暖差」、そして夏休みやお盆休みによって生活のリズムが変わる「環境の変化」の5つだ。

「私たちの体はストレスがかかると、緩和するためにタンパク質やビタミン、ミネラルの必要量が増加します。ところが夏は、暑さにより食欲が落ち、冷たいものの取りすぎによって胃腸のはたらきが低下します。そのため、口当たりのいい、そうめんやそばなど、糖質中心の食事になりがち。お肉などのタンパク質をはじめとした栄養不足に陥りやすいのです」

心の健康を保つには、幸せホルモン「セロトニン」などの神経伝達物質をスムーズに生成することが大切だという。

「例えば、セロトニンの生成には、タンパク質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛、ビタミンDなどが深く関与しています。生理がある女性は、特に鉄欠乏にも注意が必要です。貧血まで至らない鉄欠乏でも、心身に不調をきたしている場合が多いです」 そこで、奥平先生にストレスを軽減し、夏うつの予防・解消に効果的な食材の組み合わせを紹介してもらった。



■【牛肉×トマト】ストレスを軽減させる食べ合わせ5選

【牛肉(鉄・亜鉛)×トマト(ビタミンC)】 牛肉の赤身はタンパク質、ビタミンB群、 鉄、亜鉛が豊富。トマトのビタミンCは牛肉に含まれる鉄や亜鉛の吸収率を高める。鉄鍋で煮込むとより効果的!

【レバー(鉄・亜鉛)×酢(酢酸)】 鉄の含有量が多いレバーはビタミンB群もたっぷり。酢の酢酸は臭み取り以外にミネラルの吸収率をUPさせる効果が。唾液や胃酸の分泌を促し消化も助ける。

【豚肉(ビタミンB1)×玉ねぎ(辛味成分アリシン)】 豚肉に多く含まれる、糖質の代謝に欠かせないビタミンB1は、玉ねぎの辛味成分アリシンで吸収が高まる。さらに玉ねぎのオリゴ糖は善玉菌のえさにもなる。

【豆腐(マグネシウム)×キムチ(乳酸菌)】 豆腐はマグネシウムが豊富。乳酸菌たっぷりのキムチと組み合わせると、ミネラルの吸収率が高まる。キムチはなるべく添加物の少ないものを選ぼう。

【納豆(マグネシウム)×梅干し(クエン酸)】 食物繊維やマグネシウムが豊富な納豆。梅干しのクエン酸によってミネラルの吸収が高まる。納豆菌にはタンパク質を分解し、大豆を消化吸収のよい状態にする効果も。

「夏うつを防ぐには、糖質ではなく、タンパク質やビタミンB群を中心とした食事をしっかり取ることが重要。同時に、鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルを摂取することも大切です。また、栄養素を効率よく利用するには工夫が必要。辛味成分アリシンはビタミンB1の吸収を高め、ビタミンDは、マグネシウムとの相乗効果で、より活性化します」

食欲が低下する夏に、ミネラルを効率的に吸収するには、酢やレモンなどの酸味があるものを組み合わせるのもコツだとか。食べ合わせ効果を活用して、夏うつに負けない心と体を作ろう!