「オミクロン株の感染拡大など、まだ先行き不透明な社会情勢で、お金の不安は尽きません。しかし、国や自治体にはセーフティネットとして“申請するだけでお金がもらえる制度”がたくさんあるのです」

そう語るのは『コロナ不況で困った人が「申請」だけでもらえるお金払わなくてもいいお金』(宝島社)の監修本もある、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんだ。

こうした制度の存在を、行政側がわざわざ教えてくれることはまれだ。自分で申請しなければならないが、そもそも存在を知らなければ申請のしようもない。

「コロナで困窮した人のために、新制度が作られたり、これまであった制度が拡充されています。まずはどのような制度が存在するか、知りましょう」(風呂内さん)

そこで、『「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)を監修した、特定社会保険労務士の小泉正典さんも加えて、どんな制度があるかを教えてもらった。



■暮らしを助けるお金

日常生活のちょっとした出費にも対応した制度は多い。

たとえば徘徊が心配な認知症の親に携帯してもらいたい、位置情報を把握できるGPS装置の格安レンタルをしている自治体もある。

「ほかにも、詐欺電話の対策が取られた電話機や、生ごみの処理機の購入費を助成している自治体もあります。お住まいの自治体に確認してみましょう」(小泉さん)

【マイナンバーカードを発行した(マイナポイント)】新制度 得になるお金:最大2万円分のマイナポイント 申請窓口:各市区町村の窓口やオンライン申請

「マイナンバーカードを発行して、電子決済にひも付けると、5,000円相当のポイントが付与。さらに健康保険にひも付けると7,500円相当、銀行口座にひも付けると7,500円相当のポイントが付与されます」(風呂内さん)

【高齢の親が徘徊する(GPS機器購入補助など)】 得になるお金:格安で機器がレンタルできる 申請窓口:各市区町村の窓口

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると予想されている。高齢者による徘徊は社会問題化しており、事故で亡くなってしまうケースも。

「自治体に申請すると、居場所がわかるGPSを月額500円ほどでレンタルできるケースもあります」(風呂内さん)

【ステイホームで生ごみが増えた(生ごみ処理機助成金)】 もらえるお金:最大3万円など 申請窓口:各市区町村の窓口

外食を控え、おうちご飯が増えると、悩まされるのが生ごみ。

「ごみ収集の負担を軽減するため、生ごみを減らせるように生ごみ処理機購入の助成をしている自治体もあります。購入金額の半額、上限3万円などの助成が多いようです」(小泉さん)

【親が電話詐欺にだまされないか心配(特殊詐欺対策電話機等購入費補助金など)】 もらえるお金:購入額の4分の3(最大1万円)など 申請窓口:各市区町村の窓口

コロナ禍においても絶えない詐欺電話。

「電話がつながる前に『詐欺対策のため録音をしています』とアナウンスが流れる詐欺対応型の機器があります。自治体によっては、こうした電話を購入する際、65歳以上など諸条件がありますが、一部、助成してくれます」(小泉さん)

【お葬式をする(葬祭費補助制度)】 もらえるお金:5万〜7万円 申請窓口:各市区町村窓口や勤め先

「国保加入者が死亡した場合、自治体によって5万〜7万円の葬祭費がもらえます。市区町村の窓口で申請します。社会保険や各共済保険加入者が死亡した場合は、埋葬料として、勤め先などに申請することで5万円が。会社によっては上乗せされる場合も」(風呂内さん)



■仕事を支えるお金

コロナ禍でパートなどがなくなり、これを機に資格を取りたいと考えている人もいるだろう。雇用保険の加入状況により、資格取得のための受講料の一部が、最大10万円まで給付される場合もある。

定年のときに、役立つ制度も。

「60歳以降の賃金が60歳時点の賃金に比べて75%未満に減った場合などに、その時の賃金の最大15%までもらえる高年齢雇用継続給付金があります」(風呂内さん)

【あらたにスキルを身につけ働きたい(一般教育訓練給付)】 もらえるお金:受講料の20%(上限10万円) 申請窓口:ハローワーク

「雇用保険に1年以上加入している、または離職して1年以内など要件はありますが、ケアマネジャーや介護福祉士など、厚生労働大臣に指定された教育訓練講座を受けると、受講料の20%(上限10万円)の支援が受けられます(一般教育訓練給付)」(小泉さん)

【介護のために仕事を休んだ(介護休業給付)】 もらえるお金:賃金日額の67% 申請窓口:ハローワーク(相談先は勤め先)

雇用保険に加入している人が、家族の介護で仕事を休む場合に、賃金日額の67%がもらえる制度。「支給対象期間は、通算93日までで、3回を上限に分割できます。申請は職場で対応してくれる場合がほとんど」(小泉さん)

【定年後の再雇用で収入が大きく減った(高年齢雇用継続基本給付金)】 もらえるお金:最大で賃金の15% 申請窓口:ハローワーク(相談先は勤め先)

「60歳以上65歳未満で、5年以上雇用保険に加入しており、60歳時点の賃金の75%未満になってしまった場合など諸条件を満たすと、最大で賃金の15%までの給付金が受けられます。ハローワークなどで申請する必要がありますが、勤務先が行ってくれることが一般的」(風呂内さん)

【定年退職等で失業した(高年齢求職者給付金)】 もらえるお金:基本手当最大50日分 申請窓口:ハローワーク

「65歳以上で、退職までに雇用保険に半年以上加入しているなど、一定条件を満たせば、過去の賃金の5〜8割ほどに当たる『基本手当』相当額が、最大で50日分、支給されます。まずは管轄のハローワークに相談しましょう」(風呂内さん)



■医療の負担を軽減するお金

医療費の一部が還付される高額療養費制度は、忘れてはならない重要な制度。ほかにも、意外な費用が補助されることも。

「医師が運動を必要と判断して、診断書などがあれば、スポーツジムの利用料も医療費控除に計上できる場合があります。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告することで所得税や住民税が安くなります」(風呂内さん)

【病気の治療費が家計を圧迫している(高額療養費制度)】 得になるお金:自己負担限度額を超えた医療費 申請窓口:健康保険組合や市区町村の国民健康保険窓口

「1カ月のうち、医療費が一定額(一般的な収入の家庭なら、約9万円)を超えた分が返金される制度」(風呂内さん)。

さらに過去12カ月間で、同制度を3回利用した場合、4回目以降は多数該当となり、一般的な家庭では医療費の1カ月の支払いは4万4,400円ほどに抑えられる。

【医師にスポーツジムに行くよう診察された(医療費控除)】 得になるお金:所得によって異なる 申請窓口:税務署で確定申告

「年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告することで、超えた金額の所得控除が受けられ、所得税や住民税が安くなります。医師が運動が必要と判断して、診断書などがある場合、スポーツジムの利用料も医療費控除に計上できる場合があります」(風呂内さん)

こうした制度は、収入や家族構成などに加え、期限や予算枠などが決められていることもある。自分がこれらの制度の対象かもしれないと思ったら、速やかに窓口に問い合わせてみよう!

※1月14日現在の情報。各制度には諸条件があり、自治体によって行われていないことがあるので、詳しくは窓口に問い合わせを。