「アルバイト先の店がなくなった」など、コロナ禍で収入源を断たれた人は多い。借金することが頭をよぎるかもしれない。でもその前に、生活を補助してくれる制度を賢く利用しよう――!

「コロナ禍で失業や休業を余儀なくされ、生活が苦しくなった人が急増しています。多くは生活福祉資金の特例貸付といった国の融資に流れているようですが、借金をすると返済義務が生じるので要注意です。本当に困っているのであれば、生活保護を検討することをお勧めします」

そう話すのは生活保護のケースワーカーなどの相談業務に携わり、現在は高千穂大学教授として制度運用の研究に取り組む大山典宏さん。

「生活保護とは、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。なので、困窮している人が申請をためらい、受けられないということはあってはならないことです」

困っているなら堂々と声を上げたい。そこで、「いまの自分の状況で生活保護を利用できる?」との疑問に大山さんが答えてくれた。

【1】収入は足りないが、職はある 「収入があっても生活保護制度の定める最低生活費(目安として東京都内の一人暮らしで13万円程度)に満たず、財産も蓄えもなければ利用できます」(大山さん・以下同)

【2】ローン完済の持ち家がある 「ローンの残債がなければ利用できます。よほどの豪邸でなければ処分を求められません」

【3】年齢がまだ40代だ 「生活保護は年齢に関係なく『困窮している人』が対象となります」

【4】年金や各種手当をすでに受け取っている 「年金や手当をもらっていても、それが最低生活費に満たず生活が苦しければ保護の対象になります」

【5】住民票が居住地と異なる 「生活保護は実態で判断します。いま生活している居住地の福祉事務所で申請することができます」

【6】住むところが定まっていない 「最寄りの福祉事務所を現在地として申請することができます」

【7】車を所有している 「原則として売却を求められます。ただし、交通の不便な地に居住していたり、自営業で車が必要な業務に就いている場合は、保有が認められることもあります。このほかのケースでも、自分はもらえないだろうと思っても、保護の対象となることはよくあります。怖がらず、恥ずかしがらずに、助けてと素直に言える『受援力』を身につけることが大事です」

と言う大山さんから、受援力の上げ方についても教えてもらおう。

■まずは早めにアクションを

「この制度は“最後の手段”ととらえられがちですが、そうではありません。たとえば、あと数日で家を出なければならないギリギリのタイミングではなく、『家賃の支払いが苦しい』くらいの早期に、最寄りの福祉事務所へ赴いてみてください。困っている状況を伝え、その後も通い、『手を尽くしたが仕事が見つからない』『病状が回復しない』など対話を重ねれば、受給につながりやすいと思います」

〈申請時にあるといいもの〉 ・家の賃貸借契約書 ・印鑑、通帳 ・本人確認書類(免許証や保険証) ・収入がわかるもの(直近の給与明細、年金や児童扶養手当などの受給者証など)

【PROFILE】 大山典宏 ’74年埼玉県生まれ。高千穂大学教授、社会福祉士。生活保護ケースワーカーなどを経て現職。著書に『生活保護 VS ワーキングプア』などがある