脳にたまった“ゴミ”が引き起こすとされている認知症。ゴミの排出に欠かせないのが、脳内の液体の流れだ。じつは睡眠時に流れが強くなるという。認知症を防ぐための習慣とはーー。

今もって根本的な治療薬がない認知症は、’25年には65歳以上の5人に1人がなるといわれている。

とりわけ認知症の6割以上を占める「アルツハイマー型」は、異常タンパク質「アミロイドβ」の脳内への蓄積が引き金となって、神経細胞の中に「タウタンパク質」(以下、タウ)がたまり、神経細胞が死んでしまい発症することが知られている。

「睡眠中は脳が少し縮むことで、脳脊髄液の流れが強くなり、タウやアミロイドβなどの脳のゴミを排出する力が高まります。睡眠時の脳のゴミの排出速度は、起きているときの2倍以上ともいわれています」

こう語るのは睡眠専門医で、雨晴クリニックの坪田聡院長。

脳のゴミを洗い流すためには良質な睡眠が欠かせないという。そこで、睡眠の質を高める“夜の習慣”を坪田先生に教えてもらった。



■認知症予防のために夜にやるべき習慣7

【1】ホットミルクを飲む 「脳や臓器などの深部体温が下がっていく過程で、人は眠くなります。そのために、睡眠前に深部体温を、いったん上げる必要がある。温かい飲み物などを飲むのが効果的です。神経の興奮を抑えるカルシウムが含まれているホットミルクは特におすすめ」(坪田先生・以下同)

【2】就寝前に、ぬるめ(38度)の風呂に、20分間入る 「就寝1〜2時間前に、38度のぬるま湯に20分間ゆっくり入るのもいいでしょう」

血流がよいと、手足などの末端の冷たい血液が全身を巡り、深部体温がスムーズに下がっていく。

「血管は温めることで拡張し、血流がよくなる。ぬるま湯の入浴は血流をよくする効果も期待できます」

【3】首、頭を温める 「首は冷えやすく、大きな血管も通っているので、タオルを巻くなどして温めましょう。脳のゴミを排出するために、脳の血流を増やすことも忘れてはいけません。入浴後に髪はしっかり乾かすこと。ナイトキャップをかぶって寝るのも効果的です」

【4】就寝前にブルーライトを浴びない 入眠を助けるホルモン「メラトニン」は、スマホやタブレットなどが発するブルーライトで分泌が妨げられる。寝る1時間前にはスマホを使うのを止めよう。

それでも寝つけないときはどうすればいいのだろうか。

【5】百会、安眠、失眠のツボを刺激する 「快眠のツボである『百会』『安眠』『失眠』を心地よい程度に押すことで、入眠効果が期待できます」

【6】ラベンダー、セドロールなどの香りとともに眠る 「睡眠にいざなうことが科学的に実証されているラベンダーやセドロール(シダーウッド)の香りの助けを借りてみてもいいでしょう」

【7】「4・7・8呼吸法」をする 「それでも眠れない人にすすめているのが、『4・7・8呼吸法』です。体がリラックスモードになり眠りにつきやすくなります」

〈1〉息を完全に吐き切る。 〈2〉鼻から息を吸いながら、4つ数える。 〈3〉息を止めて7つ数える。 〈4〉8つ数えながら息をゆっくり吐き出す。

良質な睡眠が、脳の“ゴミ掃除”を促進し、認知症を防ぐ。そのための夜習慣を実践しよう。