「相続する土地・家屋の20〜30%は、望まない相続であるといわれています。使い道がないのに、維持費や固定資産税などを負担しなければならない“負動産”だからです。なかには、相続したのに登記しないケースも。こうした“所有者不明”となっている土地を合わせると九州の面積を超えていて、この状態が続けば、いずれ北海道の面積も超えるといわれています。その対策のために、来年、再来年と、新しい制度が始まります。知らなければ、過料を科されることもあるので、注意が必要です」(司法書士法人リーガル・フェイスの田中均弥さん)

“負動産”を登記すらしていない人も多い。不動産鑑定士の竹内英二さんが解説する。

「そもそも、不動産登記というのは、その不動産が自分のものであることを証明するもの。登記しなければ、土地を担保にお金を借りたり、売却することもできません。一方、それほどの資産価値がなければ、登記するメリットがないのが現状です。固定資産税の請求においても、各自治体は登記情報をもとに所有者を探しますが、登記情報の不備で探しきれず、請求できないこともあるのです」

何より、土地や不動産の所有者がわからないことが理由で公共工事が滞ることが問題だ。

「そのため国は2024年4月1日から不動産の相続登記を義務化します。相続してから、正当な理由がないまま3年以内に申請をしなければ、10万円以下の罰金が科されることに」(竹内さん、以下同)

注意したいのは、新制度がスタートした時点で、登記されていない不動産も対象であること。

「未登記の不動産を2024年4月1日から3年以内に申請しなければ、罰金を科せられる可能性が出てきます」

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変わっていく不動産相続のルール。今からできる準備はあるのだろうか。

「施行後は司法書士などへの登記依頼が殺到する可能性があるので、未登記の土地や建物は早めに登記するほうがいいです。親が健在で、相続が予想される土地や家屋がある場合、親やきょうだいと、どうするか、あらかじめ話し合っておきましょう。そのうえで、法的な効力の強い遺言書を残してもらうのが、親族間でのトラブルを避ける最良の方法です」

いざ“負動産”を相続してしまったらどうすればいいか。前出の田中さんはこう語る。

「まずは地元の不動産会社などに相談してみましょう。やはり地元のコネクションに頼るのが、売却への近道です。また、あまり知られていませんが、各自治体が“空き家”情報を集めた『空き家バンク』を運営しています。そこに登録して、購入したい、もしくは賃貸したいという人を探すのも手です」

それでも、処分できない場合、来年4月からは更地にして10年分の管理費を払ったうえで“国に引き取ってもらう”というのが新しい選択肢となる。最新ルールを知って、損をせずに“負動産”を処分しよう!