パートやアルバイト、派遣社員の労働契約のほとんどは、1年や3年など、働く期間が定められた有期契約。その契約が更新されないのが“雇い止め”だ。厚生労働省は、コロナ禍による解雇や雇い止めが4月9日時点で見込み含め10万947人に上ると発表。

「コロナの影響を顕著に受けているパートや派遣などの非正規雇用で働く女性に、ぜひ知っておいてほしいのが“無期転換ルール”。成立したのは’13年ですが、まだまだ認知度が低いのが現状です」

そう指摘するのは、弁護士で『5年たったら正社員!? 無期転換のためのワークルール』(旬報社)の著者の嶋崎量先生だ。

「有期契約社員が、同じ会社で5年を超えて、契約を更新しながら働いている場合に適用されるのが無期転換ルール。本人の意思があれば、期間の定めのない『無期労働契約』に転換することができます。ただし、5年を超えて働いていれば自動で無期契約になるというわけではなく、労働者からの申し出が必要です」

無期契約になることで、半年や1年ごとなどの契約期間終了によって、辞めさせられる不安から解放されるという。

では、どのような人が「無期転換」の対象なのか。嶋崎先生に教えてもらった。

■「無期転換」こんなあなたも適用です!

【会社から何も説明がありません】 説明がなくても働く側から申し出れば転換することができます。

【派遣社員です】 派遣元の会社との間で無期転換できます。

【5年の間に部署異動があったり、職種が変わっています】 継続して同じ会社に勤務していれば、その間に職種や職務内容が変更されたり、A支店からB支店に異動した場合であっても、契約期間にカウントされます。

【すでに5年を超えて勤めてしまいました】 5年を超えて働いている場合、その契約期間のいつでも無期転換の申し込みをすることができます。また、無期転換の申し込みをせずに更新した場合も、新たな有期労働契約の申し込みをいつでもすることができます。

【パート6年目ですが、最初2年働いた後、自己都合で途中3カ月辞めました】 同一の雇用主との間での「無契約期間」(退職し、労働契約の存在しない期間)が、6カ月未満※1の場合は、その期間より前に勤務していた期間も5年に含めることができます。※1:無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合。



「会社から案内がないから対象ではない、と思っていませんか? 公務員などの例外を除き、’13年以降、同じ会社で5年を超えて契約更新して働いていればどの職場においても対象になります。5年間は、契約をしていた期間を数えるので、契約期間中に、育児休暇や休職期間があっても、5年のうちにカウントされます」

パートでしばしばあるのが一度退職して、再び同じ職場に復帰した場合だが。

「1年以上勤務してからの退職で、働いていない期間が半年以内であれば、退職する前の期間も5年間に数えることができます」

申し込みができるタイミングは少しややこしいので注意が必要だ。

「期間中に、5年と1日を迎える労働契約期間の初日から、契約終了日までの間です。1年契約の人の場合、申し込みの権利が発生するのは6回目、3年契約の人は2回目の契約から申し込みができます。また、実際に無期契約に変わるのは、無期転換の申し込みをした契約の、次の契約期間からです」

無期転換の申し込み方は非常に単純だという。

「ご自身が、雇い主の会社に『無期転換します』と、伝えるだけで成立となります。トラブルを避けるためメールや書面などで申し込むといいでしょう」

書面の文章は次の文例を参考にしてほしい。

無期転換をしたいが、会社から説明がないなどで言い出しにくい場合は、どうしたらーー? 働く主婦の声を多く聞いてきたワークスタイル研究家の川上敬太郎さんがアドバイスをくれた。

「まずは『当社の無期転換に関する規定について知りたいのですが』と上司や人事担当者に尋ねてみてください。もし無期転換について、職場側が丁寧に説明してくれないとしたら、それはその職場のスタンスの表れ。長くいるべき職場か否かの判断材料にしていただいたほうがいいと思います」

不安定な時代だからこそ、雇用の安定を確保するためにぜひ無期転換を活用して、と嶋崎先生。

「今後もこの職場で働ける、という安心感は、大きな心の支えになると思います」

無期転換ルールを使って、コロナ禍を乗り切ろう!

「女性自身」2021年5月4日号 掲載