「受け取る年金額は減っているのに、天引きされる介護保険料だけは上がっていくばかり。生活が厳しくなるから、介護サービスの利用も少し控えようかと……」

都内在住の81歳の女性はこう語ると深いため息を吐いた。

3年に1度、見直される65歳以上の人が払う介護保険料。4月からはじまった’21〜’23年度(第8期)から新しい基準額に基づいた金額になっている。本誌は47都道府県の県庁所在地と政令指定都市の介護保険料の基準額を調査。その結果、52都市の平均基準額は6,327円と、過去最高を記録したことがわかった。介護保険がスタートした’00年の全国平均は2,911円。見直しのたびに上昇し、ついに2倍以上にまで引き上げられたのだ。

介護問題に詳しい淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授が語る。

「介護サービス費用は、利用者が1割を払い、残りの9割の半分が税金、もう半分が介護保険料で賄われます。さらに、介護保険料は65歳以上の人が払う第1号保険料と、40〜64歳の人が払う第2号保険料に分かれています。高齢者が増え、介護保険サービスを多く利用しているため、介護保険料が上昇し続けているのです」

第1号保険料の基準額は自治体ごとに決められ、そこから所得に応じて段階的に保険料が設定される。払う保険料は基準額の半分〜2倍になるのだ。注目は、もっとも高い大阪市と最安値の山口市では基準額に月3,044円の差が開いていること。年3万6,528円もの違いだ。



「介護保険料の基準額は、高齢者が多く、かつ介護保険サービスを利用している人がたくさんいる自治体が高くなります。大阪市は、横浜市についで、日本で2番目に高齢者人口が多い市。そのうえ、サービス付き高齢者向け住宅の利用が多いのが特徴です。これは在宅介護と有料老人ホームの中間的存在で、施設費用以外にもヘルパーの付帯サービス費用がかかる。結果、大阪市は高齢者1人当たりにかかっている月の給付費が、2万9,960円と高くなっているのです。それが介護保険料に反映されています。ちなみに大阪市の高所得者は月額1万8,000円になることも」

ならば、最も安い山口市には、どのような特徴が?

「介護保険サービスの施設整備が遅れていることが要因のひとつと言われています。その結果、介護サービス料が低く抑えられる在宅介護が多く、高齢者1人当たりの給付費が伸びずに、基準額が抑えられているのです。在宅介護が多いことで知られる長野県も基準額は抑えられています」

介護保険料の高い安いだけでは、介護サービスが充実しているかどうかはわかりにくい。

「大都市では施設介護が好まれ、地方では家族や住民などが支える在宅介護があるなど、地域ごとに特性があります。お住まいの自治体の介護の実力を知るには、介護予防政策に力を入れているかどうか、特別養護老人ホーム(特養)の定員数や待機者数にも注目する必要があります」

「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載