中央社会保険医療協議会・総会は1月15日、「急性期一般入院基本料」の算定要件である該当患者割合の基準値について議論した。このなかで支払側は、「急性期一般入院料1」の基準値を「重症度、医療・看護必要度I」(以下、看護必要度)による判定の場合で35%、同IIの場合で34%に引き上げることなどを提案。診療側は、「常軌を外れた提案だ」などと非難し、意見が激しく対立した。

 厚労省はこの日の総会に、12月20日の会合で概ね了承された看護必要度のA〜C項目の見直しを反映させた場合に該当患者割合がどのように変化するか、シミュレーションした結果を提出した。

 2019年4月に提出された「急性期一般入院料」のDPCデータを使い、▶基準2(「診療・療養上の指示が通じない・B14」または「危険行動がある・B15」に該当し、A得点1点以上かつB得点3点以上)を除外、▶A項目から「免疫抑制剤の管理」(注射剤以外)を除く、▶C項目に入院実施割合が90%以上の手術(2万点以上のものに限定)および検査を追加、▶C項目の評価対象日数を在院日数の中央値の5割程度まで広げる─条件設定でシミュレーションを実施。

 前回の審議で救急の患者が適切に評価されるような見直しを求める意見があったことを踏まえて「救急医療管理加算1、2」と「夜間休日救急搬送医学管理料」の算定患者を対象に追加することとし、▶看護必要度IはA項目の「救急搬送後の入院」を現在の2日間の評価から5日間の評価に変更、▶看護必要度IIは入院日に「救急医療管理加算1、2」または「夜間休日救急搬送医学管理料」を算定した患者をA得点2点(5日間)として追加―することもシミュレーション条件に加えた。

■評価項目の見直しで必要度Iの該当患者割合は低下、IIは横ばい

 現在の該当患者割合の基準値は25パーセンタイル値に相当する値となっており、これを参考にシミュレーション結果の25パーセンタイル値をみると、「急性期一般入院料1」で看護必要度Iによる判定の場合は見直しによって、現行の33.5%から30.3%に約3ポイント低下。看護必要度IIの場合は、現行29.9%、見直し後29.7%とほとんど変化が認められなかった。「急性期一般入院料4」は、看護必要度Iの場合が現行の31.2%から22.9%に約9ポイント低下、看護必要度IIでは25.3%から23.1%に下がった。

 許可病床数200床で区切ったシミュレーションも行なった。それによると、「急性期一般入院料1」で看護必要度Iの場合の見直し後の25パーセンタイル値は、200床未満が30.2%(現行34.4%)、200床以上が30.4%(33.3%)。看護必要度IIは200床未満28.9%(28.3%)、200床以上29.8%(30.1%)となった。

 結果を受けて、厚労省は▶「急性期一般入院料1」および「同4」の該当患者割合の基準値、▶「急性期一般入院料2、3」の扱いも含め、各入院料区分の該当患者割合の基準値の間隔をどのように設定するか、▶「急性期一般入院料2、3」で看護必要度Iによる判定の容認や該当患者割合の基準値を軽減する、許可病床数200床未満の医療機関の経過措置の扱いーを論点として提示した。

■診療側は基準値据え置き、支払側は厳格化を主張し、議論紛糾

 議論で、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、18年11月から19年6月までの7カ月間で「急性期一般入院料1」の届出が約1万床減少したことや、病床稼働率が低下していることなどを示し、7対1から10対1への移行は着実に進んでいると指摘。短期間での頻回な見直しによる現場の混乱を避けるためにも、該当患者割合の基準値は、現行のまま据え置くべきだとの考えを示した。

 一方、支払側を代表して発言した幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、過去の改定時に行なった基準値の引き上げによる病床転換促進効果は限定的で、その原因は入院料1から4の基準値の間隔が狭く、メリハリがないことにあるとの認識を表明。基準値の間隔を広げるためにも、入院料1の基準値は高い設定にする必要があるとし、▶入院料1は看護必要度Iの場合で35%、IIは34%、▶入院料4はIを25%、IIを24%―とすることを提案した。

 支払側の提案に診療側は、「7割の医療機関が基準を満たせなくなる提案で、相当な数の医療機関になくなりなさいと言っているようなものだ。非常に無謀な設定であり、大反対する」(松本委員)、「50パーセンタイル値でも32.7%であり、いきなり70パーセンタイル値で切ることに根拠がない」(今村聡委員・日医副会長)などと、猛反発した。