中央社会保険医療協議会・総会は1月31日に開かれ、2020年度診療報酬改定の個別項目について、2回目の議論を行った。かかりつけ医機能の評価では、争点だった「機能強化加算」の要件見直しについて、支払側が求めていた文書による事前説明ではなく、院内掲示項目の追加や、掲示内容を文書化したものを患者が持ち帰れるように設置することなどの要件化で決着した。「オンライン診療料」や「オンライン在宅管理料」は、事前の対面診療の期間を現在の6カ月から3カ月に見直す。

 「機能強化加算」を巡っては、かかりつけ医機能を広く国民に普及する観点から支払側が、かかりつけ医機能やかかりつけ医を持つメリットを診療前に文書で患者に説明することを要件化するよう強く要請。診療側は、説明に時間を取られて診療に支障が出る恐れがあるなどと反発し、院内掲示項目の充実などで対応するよう求めていた。

■「地域包括診療加算」は「時間外対応加算3」の届出で算定可能に

 両者の主張に配慮する形で決まった見直し内容では、院内掲示項目に、▶必要に応じて専門医、専門医療機関に紹介する、▶「医療機能情報提供制度」を利用して、かかりつけ医機能を持つ医療機関を検索できる−の2項目を追加。医師や医療従事者に口頭での説明を課すことはせず、院内掲示の内容を書面にしたものを患者が持ち帰れるように院内の見えやすい場所に設置することなどを要件に加える。同じく、かかりつけ医機能を評価する「地域包括診療加算」は施設基準を見直し、「時間外対応加算3」(複数の診療所で対応する場合に算定)の届け出でも算定できるようにする。「初診料」などの「妊婦加算」は廃止する。

 医療機関間の情報連携では、「診療情報提供料」に、かかりつけ医機能を持つ医療機関から患者を紹介された専門医などが紹介元医療機関の求めに応じて診療情報を提供した場合の区分(III)を新たに設ける。算定は原則、3カ月に1回とするが、対象患者が産科・産婦人科から紹介された妊婦で頻回な情報提供が必要と判断される場合は、月1回の算定を認める。

■事前対面期間を3カ月に短縮、「オンライン診療料」

 「オンライン診療料」は事前の対面診療の期間を従来の6カ月から3カ月に改め、対象疾患に定期的に通院が必要な慢性頭痛患者を追加する。算定要件では、急変などの緊急時に速やかに対面診療が受けられるよう、あらかじめ受診可能な医療機関を患者に説明した上で、診療計画に記載しておくことを新たに求めるほか、へき地や医療資源が少ない地域での特例的な対応として、代診を立てられないなどの理由で2次医療圏の他の医療機関の医師が初診からオンライン診療を行う場合も「オンライン診療料」の算定ができるよう、注記を追加する。

 「オンライン在宅管理料」も事前の対面診療の期間を3カ月に短縮。このほか、▶月2回以上の訪問診療を行った場合も算定可能とする、▶複数の医師がチームで診療を行う場合は、医師5人以下のチームであることや診療計画への記載など一定の基準を満たす場合に限り、事前の対面診療がない医師によるオンラインでの医学管理を認める−などの見直しも実施する。

 希少性の高い疾患などの患者が地理的事情から専門医への通院が困難な場合に、かかりつけ医のもとで遠方の専門医のオンライン診療を受ける、いわゆる「D to P with D」の評価(遠隔連携診療料)も新設。報酬はかかりつけ医が請求し、医療機関間の合議に基づいて分配することとする。関連して、「ニコチン依存症管理料」は、▶初回と5回目を対面、2回目から4回目をオンラインで診察した場合の評価(管理料1)、▶初回から5回目までの一連の治療に対する評価(管理料2)―の2区分に変更するとともに、加熱式タバコの喫煙者を評価対象に加える。

 「療養・就労両立支援指導料」は対象疾患を、脳卒中、肝疾患、指定難病に拡大。産業医のいない小規模事業場に勤務する者での算定が可能となるよう、算定対象者に総括安全衛生管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、保健師が選任されている事業場の勤務者を追加する見直しも行う。さらに初回と2回目以降の評価を区分し、治療計画の見直しを終えるまで報酬算定が認められなかったこれまでのルールを改め、企業への情報提供や、その後の労働環境の変化に応じて療養上の指導を行った都度、算定できるようにする。

■「提出データ評価加算」は200床未満病院のみの評価に

 一方、入院医療の関係では、「データ提出加算」の要件化入院料に、許可病床数200床未満の医療機関の「回復期リハビリテーション病棟入院料5、6」と「療養病棟入院基本料」を追加。算定ルールでは、平均在院期間が長い、「療養病棟入院基本料」や「回復期リハビリテーション病棟入院料」などの入院料については、入院期間が90日を超えるごとに1回算定できるようにする。「提出データ評価加算」は許可病床数200床未満の病院に算定対象を限定し、未コード化傷病名の割合の基準値も見直す。

 「療養病棟入院基本料」は、中心静脈カテーテルに関する院内感染対策の指針策定と、感染症の継続的把握を要件に追加。医療区分3の評価項目のうち、「中心静脈栄養を実施している状態」についても、毎月末に当該状態への該当性を確認し、結果を診療録などに記載することを新たに要件として求める。

 入院時のポリファーマシー(有害事象を伴う多剤投与)解消策では、「薬剤総合評価調整加算」を「処方の総合的な評価と調整の取り組み」と「減薬につながった場合」の段階的評価に再編成する。このうち後者は、「薬剤総合評価調整加算」を算定する患者で2種類以上の減薬を実現した場合の上乗せ加算(薬剤調整加算)として位置付ける。