社会保障審議会介護給付費分科会は6月1日、2021年度介護報酬改定に向けた分野横断的テーマとして、地域包括ケアシステムの推進について議論した。厚生労働省は在宅で生活する高齢者の在宅限界を高めるための在宅サービスのあり方や、認知症への対応力を向上させるための取り組みなどを論点として提示した。

 21年度改定に関する初回の議論となった3月18日の分科会では、各サービス種類別の論点とともに、横断的テーマとして、①地域包括ケアシステムの推進、②自立支援・重度化防止の推進、③介護人材の確保・介護現場の革新、④制度の安定性・持続可能性の確保―の4項目を取り上げる方針が確認されている

 このうち地域包括ケアシステムの推進について、厚労省は1日の分科会に、生産年齢人口が減少する中にあっても中重度の高齢者や、医療・介護双方のニーズがある高齢者に必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、地域の医療・介護関係者が連携し、取組みを進めていくことが重要との基本姿勢を明示。そのための具体策を検討する際の論点として、①在宅で生活する者の在宅限界を高めるための在宅サービスなどの在り方、②これまでも取組みを進めてきた介護保険施設での対応の在り方に加え、高齢者向け住まいにおける更なる対応の在り方、③人生の最終段階においても本人の意思に沿ったケアが行われること―の3項目を挙げた。また、在宅の中重度の要介護者を含む、認知症への対応力を向上させる取組みの検討も課題に据えた。

 在宅限界を高めるとの提案に対し、今井準幸委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、「特に後期高齢者では状態像の変化を踏まえた、きめ細かな生活支援がますます重要になる。これまでのような在宅サービスの単体展開には限界があり、地域密着型サービスのような複合型で包括報酬のサービス拡大について議論すべきではないか」と述べた。河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)は、「生産年齢人口が減少する中で制度の安定性、持続可能性を担保することが人材面でも、経済面でも、地域包括ケアシステム推進の上でも極めて重要だ」とし、サービスの効率化、適正化の視点での議論の必要性を説いた。

■福祉用具貸与の上限設定、見直し頻度を3年ごとに変更へ

 この日は、福祉用具貸与価格の上限設定(18年10月導入)についても議論した。18年度介護報酬改定の影響調査によると、上限設定導入による貸与価格の適正化効果は一定程度認められるものの、貸与価格の変更に伴う商品カタログの修正やシステム改修などのコストが膨らみ、事業者の経営状態は上限設定前に比べて悪化していることがわかっている。このため、厚労省は上限の見直し頻度を現在の年1回から、3年に1回に変更することを提案し、概ね了承された。貸与事業者のシステム改修などに時間を要することから、見直し時期は21年度からとし、20年度は新製品の全国平均貸与価格の公表と上限設定のみを行う。