国内での新型コロナウイルスワクチンの接種が2月17日から始まった。まずは調査研究を目的とした「医療従事者等への先行接種」(約4万人)が行われ、3月には「医療従事者等への優先接種」(約370万人)が始まる予定。その後に続く「高齢者」「基礎疾患を有する者や高齢者施設等の従事者」への接種が円滑に進むためには、先行接種で収集する副反応情報等のデータを迅速に集計・公表することが重要となる。先行接種初日の模様とともに、先行接種の調査がどのように進められるかを整理する。

 2月17日午前9時、全国に先駆けて国立病院機構東京医療センター(東京・目黒区)で先行接種は始まった。国内で最初に接種を受けたのは、同センターの新木一弘院長。続いて他の職員にも滞りなく接種が行われ、この日は、医師3名、看護師5名、検査技師2名、事務職員2名の計12名が、承認されたばかりのファイザーのワクチン「コミナティ筋注」の接種を受けた。

■新木院長「今までで一番痛みがない」

 接種開始直後に行われた記者会見で新木院長は「コロナ対策の切り札であるワクチンの先行接種が始まった。先行接種が職員や患者・家族の方の感染防止に役立つとともに、調査研究の結果が国民の皆様がワクチンを安心して受けていただけるデータとして有効に活用されることを期待している」と、調査研究を兼ねた先行接種の意義を強調した。

 接種を受けた感想については「私はあまり注射が好きではないが、痛くなくてよかった、ホッとしたというのが率直な感想。受けて30分以上経つが痛みは全くない。これまで受けた予防接種の中で一番痛みがないほうかなと思っている」と述べた。

 接種を受けた他の職員からも「痛みはほとんどなかった。刺した時にチクリとしたぐらい」「インフルエンザの予防接種よりも痛くなかった」など、皮下注射のインフルエンザワクチンなどよりも注入中の痛みがないという声が多く聞かれた。

■希望しない15%の職員に「不利益はない」

 先行接種の実施医療機関は、国立病院機構52病院、地域医療機能推進機構(JCHO)27病院、労働者健康安全機構(労災病院)21病院の計100病院。

 国立病院機構東京医療センターは1月末頃に約1500人の職員と出入りする委託業者を対象にアンケートを行い、85%が先行接種・優先接種を希望することを確認。接種後、発熱などで休むケースが出てくることを考慮し、高度急性期病院として医療を継続させるため、先行接種の対象者は800人に絞り、残りの希望者は優先接種で対応する方針を決めた。医師、看護師、コメディカル、事務職員などの職種間に差をつけることなく、2日目以降は1日60人のペースで満遍なく接種を進めていく計画だ。

 記者会見で新木院長は、あくまでも接種は任意であるため、接種を希望しなかった約15%の職員について「当然(業務上の)不利益はない」と述べた。