厚生労働省は11月5日、中和抗体薬「ロナプリーブ」(一般名:カシリビマブ/イムデビマブ)について「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症抑制」の適応追加を特例承認した。投与方法についても、点滴静注に加え「皮下注射」による投与を新たに認めた。これによりロナプリーブは、COVID-19患者との濃厚接触者や無症状の陽性者に対しても発症抑制の目的で使用することが可能となり、また、既承認の軽症・中等症患者の治療の場合も含め、皮下投与が可能となった。

 製造販売元の中外製薬は、濃厚接触者を対象とした海外第3相臨床試験(REGN-COV2069試験)の成績、投与量・投与方法の検討を目的とした海外第2相臨床試験(REGN-COV20145試験)、日本人における安全性と忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第1相臨床試験(JV43180試験)の成績に基づき、発症抑制の適応追加などの承認を申請。

 4日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で審議した結果、「ワクチン接種では効果が不十分と考えられる者等に対してもCOVID-19の発症抑制に関する選択肢を提供する初めての薬剤」と評価され、特例承認することが了承された。

■厚労省、「ワクチンに置き換わるものではない」と注意喚起

 厚労省は5日付で、中和抗体薬ロナプリーブに関する留意事項・質疑応答を盛り込んだ事務連絡を改訂。

 「SARS-CoV-2(=新型コロナウイルス)による感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤はワクチンに置き換わるものではない」と注意喚起しつつ、発症抑制で使用する場合の投与対象について、①患者の同居家族・共同生活者等の濃厚接触者、または無症状のSARS-CoV-2病原体保有者、②原則として重症化リスク因子を有する者、③COVID-19ワクチン未接種者またはワクチンによる効果が不十分と考えられる者─のすべてに該当する者と明記した。

 皮下注射による投与については、4カ所への注射が必要など一定の患者負担があり、臨床試験データも限られていることから、治療目的でロナプリーブを使用する際は「点滴静注による投与が実施できずやむを得ない場合」にのみ皮下投与を検討するとした。

 中外製薬の奥田修社長は、皮下投与追加の意義について「在宅治療等における負担軽減への貢献も期待される」と強調している。