アイルランド製薬大手シャイアー社の買収を2019年1月に完了させ、「研究開発型バイオ医薬品のグローバルリーディングカンパニー」として大きく生まれ変わった武田薬品工業。その動向への医療関係者の注目度は高く、本誌読者アンケート(2019年3月)でも「シャイアー買収でメガファーマとなったから」「海外企業と統合し、iPS細胞の研究にも関与している」などの理由で武田薬品に注目しているという声が多く寄せられた。日本国内の戦略だけでなくグローバル戦略の立案も担う武田薬品の国内開発部門「日本開発センター」は、どのような体制で革新的な医薬品・治療法の開発を進めているのか。廣田直美所長に話を聞いた。

――武田薬品の研究開発はどのような基本戦略で進められているのでしょうか。

廣田
 患者さんに革新的な治療薬・治療法をお届けするため、ワールドクラスのR&D(研究開発)組織を構築しイノベーションを推進する、というのが武田の基本戦略です。注力すべき疾患領域を絞り、リソースの集中化を進めていますが、シャイアー社を買収したことで従来の「がん領域」「消化器系疾患領域」「ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域」に加え、「希少疾患領域」も重点疾患領域となり、ワクチンに加え血漿分画製剤に研究開発投資が行われることとなりました。

 武田・シャイヤー統合後の研究開発パイプラインにある新規候補化合物の約半数は希少疾患であり、スペシャルティケアのファーマへと大きく変化していることを実感しています。

シャイアー買収で患者がより身近に

――国内の研究開発体制は現在、どうなっていますか。

廣田 国内の開発部門は大阪に集約されています。武田薬品において日本は1つのリージョン(地域)であり、日本というリージョンでの開発を日本開発センターが統括するという体制です。

――湘南の研究所はどう位置づけられているのですか。

廣田 武田湘南(R&D)は、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)に位置するリサーチの拠点で、ニューロサイエンスを中心に創薬ターゲットの探索や候補化合物の選定に取り組んでいます。湘南とはリサーチの初期段階から綿密な連携をとっており、今年4月に先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたナルコレプシー治療薬「TAK-925」は、湘南と我々の連携が実った1つの成果です。

 最近の新薬の多くはベンチャー企業から創出されていることを踏まえ、湘南アイパークに企業・大学を積極的に誘致し、ソースを問わず良い薬を開発するという方針の下、外部ベンチャーとの連携も強めています。

――シャイアーとの統合で研究開発体制が変わった部分はありますか。

廣田 基本的には武田のシステムにシャイアーが組み込まれたという格好ですが、お互いベストプラクティスを目指す中で影響は受けています。日々感じるのは、希少疾患の患者さんの声がよく聞こえるようになったことです。これまで以上に患者さんを身近に感じることができ、我々の励みになっています。