後発医薬品使用割合80%目標の達成時期が2020年9月に迫り、「ポスト80%時代」も見据えた開発戦略が求められるジェネリック医薬品メーカー。先発医薬品と同等以上の品質を持つ「高付加価値ジェネリック医薬品」の開発を追求し業界を牽引する沢井製薬は、具体的にどのように研究開発を進め、他社製品との差別化を図っているのか。研究開発本部長の横田祥士さんに、選択的NK1受容体拮抗型制吐剤「アプレピタントカプセル「サワイ」」など最近上市した新製品での製剤工夫の事例を紹介してもらいながら、同社の研究開発の基本戦略、さらなる競争激化が予想される「ポスト80%時代」の課題を聞いた。

■経口製剤でナノ化を実現

――沢井製薬では最近の製品開発でどのような工夫をしているのか、具体的な事例をご紹介いただけますか。

横田
 2019年12月に上市したばかりの新製品ですが、選択的NK1受容体拮抗型制吐剤「イメンド」の後発品として初めて承認された「アプレピタントカプセル「サワイ」」という製品では、原薬をナノ粒子まで小さくする技術を用いました。ジェネリックの経口製剤でナノ化したものはこれまでになく、世の中に最初に出せたことは非常に意義があると思っています。

 実は、アプレピタントは粒子の規格と添加剤に関して先発品メーカーの特許があり、これらを回避できるかが課題でした。添加剤は使わなければならなかったのですが、粒子の規格については特許回避できるだろうということで異なる粒子サイズで製剤化しました。

 粒子サイズが異なると吸収などが変わる可能性がありますので、まずイヌで生物学的同等性の予備検討を行い、ヒトでも同等性が確保できることを予測してから生物学的同等性試験を実施しました。生物学的同等性試験は健常人を対象としますので、私たちはできる限り動物で根拠をつくることを大切にしています。

――アプレピタントは、抗がん剤投与に伴う悪心・嘔吐などの症状を抑える薬ですね。

横田 患者さんは悪心などがある状態で服用する可能性があるのでカプセルサイズも小さいほうがいいだろうと考え、2号カプセル(全長17.8mm)と3号カプセル(全長15.8mm)を採用しました。

――ほかに開発に苦労したものはありますか。

横田 アプレピタントカプセルと同時に薬価収載されたキャンディン系抗真菌剤「ミカファンギンNa点滴静注用「サワイ」」(先発品:ファンガード)は凍結乾燥品ということで、先発品の特許を回避しながら安定化を図るのに苦労しました。ガラス製バイアルであることから、底部にオリジナルのプロテクターを付けて破瓶を防止し、使い勝手を良くしたのも工夫した点です。