声優・タレント・ラジオパーソナリティーとして活躍する“み〜たん”こと、木村三恵さんが、なつかしのレコードに思いをはせてつづるコラム、「み〜たんの名作レコード実況Lock-on」。今回、レコードの針をおとすのは、宝塚歌劇団花組公演「夜明けの序曲」宝塚大劇場1982年8月30日公演収録の実況録音LP(「宝塚グランドロマン 夜明けの序曲」)です。

レコーダー

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“オッペケペー! オッペケペー! オッペケペッポーペッポッポ!”

 この節回しが印象的で、何年経っても歌える「オッペケペー節」。番組ディレクターちゃんが、編集の際に「あの、ヘベレケのシーン」と、勘違いしていたのは、笑けた。

「オッペケペー節」の川上音二郎といえば……。
(以下 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用)
<14歳のとき故郷を出奔。自由党壮士となったが、弾圧のため、講釈師、寄席芸人になったり、「書生にわか」を試みたりした。 1891年,堺で川上書生芝居を旗揚げ、『意外』『又意外』などホットニュースの上演や、日清戦争をあてこんだ戦争劇の連続上演で新演劇の基礎を確立、95年に歌舞伎座に進出するまでになった。4度にわたる渡欧で海外巡演もし、川上座、大阪帝国座など劇場を建設したり、妻と帝国女優養成所を開いたり,時代の機をみるに敏で,事業欲に富む波乱の一生をおくった人>

 1985年のNHK大河ドラマ『春の波涛』では、川上音二郎を中村雅俊さん、音二郎の妻「マダム貞奴」を松坂慶子さんが演じていたのを、ご覧になった方も多いかもしれません。

 宝塚では、1982年に花組トップスター・松あきらのさよなら公演として上演され、1999年には、同じく花組・愛華みれの大劇場トップお披露目公演として上演されています。

 面白いのが、音二郎がアメリカに旅立つ口上のシーン。松バージョンでは「皆様、お別れでございます。私は 今日より旅立ちます」と、さよなら公演らしく、ファンの皆さんへの最後の言葉とも聞こえるセリフになっているのに対して……、

 愛華みれバージョンでは プロローグあけに「皆様ようこそお越しくださいました。川上音二郎、まだ見ぬ国アメリカに出発いたします。……新たなる門出でございます」と、お披露目公演として華々しくスタートするイメージのセリフになっています。

 ほぼ同じシーンにも関わらず、セリフをガラリと変えて見せたのは、演出家のトップスターへの愛情とも感じられます。

 今回は番組放送時間の関係上、「み〜たんのおすすめシーン」はカットしましたが、あえてチョイスするならやはり。。。

 川上音二郎が舞台上で亡くなった後、幕前で貞が話す「喪主の挨拶」とも言える長台詞。

 男役の「相手役」と思われがちな娘役ですが、初演の若葉ひろみといい、再演の大鳥れいといい、舞台人としての輝きにあふれ、それが、貞が生きてきた人生と重なって涙なしに聴けない、見事なシーンとなっていました。

 それからラジオで映像をお見せできないのが本当に残念なのは、「モルガンお雪」を演じた、専科の松本悠里。モルガン邸で見せた舞のシーンは、空気が透き通るように美しく、まさに動く日本人形のようでした。

宝塚

※ラジオ関西『レコード・アーカイブス』より