鉄アナ・羽川英樹の連載「行ってきました!」。今回は阪急電車の要、大阪梅田駅のホームからスタートする、羽川アナらしさあふれるレポートでお届けします!

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 阪急・大阪梅田駅は、一日50万人が利用する関西私鉄最大のターミナル。この駅では10分ごとに、京都線・宝塚線・神戸線の優等列車が同時に発車します。そこでその光景を競馬に見立て、3線同時発車で十三駅到着までのレースを「十三ステークス」と名付け、実況風に追ってみました。

 標準軌・3複線3頭立ての2400メートルは、左から1枠1番・神戸線、2枠2番・宝塚線、3枠3番・京都線と並びゲートイン終了です。さあ各馬一斉にスタートしました。出遅れはありません。正面に見えるのが茶屋町の阪急電鉄本社ビル、そしてその右手にホテル阪急インターナショナルを眺めながら、まずは900メートル先の中津駅へと向かってまいります。

 中津駅は、各停しか停まらない駅。そしてホームの幅が非常に狭いことでも有名です。この駅は神戸線・宝塚線にはホームがありますが、京都線にはホームが存在しません。これは3路線の中で京都線が一番あとで開通したため、ホームをつくる用地がなかったからなんです。ゆえに神戸線・宝塚線は中津駅のホームを通過する際、制限速度45km/hの徐行が強いられますが、ホームのない京都線はスピードをぐんぐん上げ85km/hで通過していきます。現在、中津駅を通過した時点で、京都線が1馬身のリードであります。このあと右にカーブして新淀川橋梁にさしかかります。

 この鉄橋をよく見ると神戸線・宝塚線は鉄骨のジグザグの梁がある美しいトラス橋。一方、京都線はまともに風を受けるガーダー橋となっています。全長686メートルのこの橋を渡ったところで、案の定、先頭を行く京都線が風の影響を受け少しスピードを落としています。さあここから十三までの800メートル、京都線は右へ45度の大きなカーブが待ち受け、真ん中を走る宝塚線は緩やかな右カーブ、そして最も左を走る神戸線はまっすぐ一直線です。さあこのまま京都線が逃げ切るのか、神戸線が直線で一気追い上げるのか。マルーンカラー3頭の激しい争いです。京都線か神戸線か、神戸線か京都線か。手に汗握る接戦を制したのは、最後の直線で追い上げを見せた神戸線! 上がり時計3分10秒での1着でした。

阪急電車
阪急電車

 運転士用時刻表には大阪梅田〜十三間は神戸線が他より10秒早く到着することを知り、これをYouTubeで表現したのが「鉄アナ・羽川英樹の出発進行」シリーズの始まりでした。有馬記念ほどメジャーではありませんが、鉄マニアの間では「十三ステークス」が毎回乗車するときの楽しみのひとつなんです。(羽川英樹)