2021年のノーベル賞・文学賞をスウェーデン・アカデミーが発表し、有力候補とされた、作家の村上春樹さん(72)の受賞はなりませんでした。タンザニアの作家、アブドゥルラザク・グルナさんが受賞しました。

 村上さんは1949年に京都市で生まれ、西宮市と芦屋市で育ちました。兵庫県立神戸高校、早稲田大学を卒業し、1979年に神戸を舞台にした小説『風の歌を聴け』でデビューしました。

村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』の書影
村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』の書影
村上春樹さんのエッセー『辺境・近境』では、神戸市内の飲食店などが描かれている
村上春樹さんのエッセー『辺境・近境』では、神戸市内の飲食店などが描かれている

 累計1千万部を超えるベストセラーとなった『ノルウェイの森』など、これまでの作品は50カ国語以上に翻訳されていて、2006年にはフランツ・カフカ賞を受賞しました。以降は毎年、ノーベル文学賞の有力候補に挙げられています。

 村上さんのエッセー『辺境・近境』で描かれた、神戸市中央区のイタリアンレストラン「ピノッキオ」には、毎年「ハルキスト」と呼ばれるファンが集まり、吉報を待つのが恒例となっていますが、ことしは新型コロナウイルスの影響で中止となりました。同店のオーナー、山中崇裕さん(66)は、「こんな時(コロナ禍)に受賞してくれるのでは、と1年を過ごしたので、残念としか言えません。来年は店が60周年なので、ここまで来たら、来年、再来年と期待したいです」と気持ちを切り替えました。

イタリアンレストラン「ピノッキオ」外観(神戸市中央区)
イタリアンレストラン「ピノッキオ」外観(神戸市中央区)

 神戸高校の卒業生でつくる同窓会は、「村上春樹さんの受賞がならなかったことは大変残念。作品の素晴らしさがそれによって左右されるものではなく、同窓生としてこれからも村上さんの作品を愛し、応援し続けます」と、報道各社へコメントを寄せました。

 また、神戸高校の世良田重人・校長は、「本校の卒業生である村上春樹さんの存在は、生徒たちの誇りです。デビュー以来、長年、素晴らしい作品を発表し続けていらっしゃいますので来年こそはと期待しています」とコメントしました。