かつての仲間は敵か、味方か? 新キャラも登場するMCU最新作 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」大ヒット公開中 (C)Marvel Studios 2022All rights reserved.

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 元カノの結婚式に列席するのは、どんな気分なのだろう? もちろん祝福の気持ちはあるにしても、「もし新郎が僕だったら…」なんて一瞬でも考えたとしたら、心穏やかではいられないはず。そんなザワザワした心を抱くドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)が、新婦のクリスティーン・パーマー(レイチェル・マクアダムス)と言葉を交わしているときに突如現れたのが、一つ目の怪物ガルガントス。

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 ガルガントスは、ターゲットであるアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)を追ってやってきたのだった。今回、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に初登場となるこの少女。空間に星形の穴をあけて次元間を移動するという驚異的な能力を持つがゆえに、多くの敵から狙われているのだ。

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 一方、2016年、『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』に続いて同年に公開された『ドクター・ストレンジ』で初登場したのがドクター・ストレンジ。天才外科医だったが、交通事故で医者としてのキャリアを失い、ネパールにある“カマー・タージ”という施設で修行の末、最強の魔術師として覚醒した。

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 ドクター・ストレンジは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)で、やむなくサノスにタイムストーンを渡し、“指パッチン”のデシメーションで消滅。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)で復活したのち、『スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム』(2022年)で、スパイダーマンから頼まれて人々の記憶を消すという呪文を唱えたが、これが禁断の呪文。時空が歪み、“マルチバース”という、謎と狂気に満ちた異次元への扉を開いてしまったのだった。

 アメリカ・チャベスを守るため、マルチバースの知識を豊富に持っているというアベンジャーズのメンバー、ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)に助けを求めるドクター・ストレンジ。ところが、双子の息子たちと過ごす幸せな夢にとらわれた彼女には、別の決意があった。

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 ドクター・ストレンジは、かつてカマー・タージでともに修業し、今やマスターとして魔術師たちを率いるリーダーとなった盟友・ウォン(ベネディクト・ウォン)と手を組みに、アメリカ・チャベスを守る闘いに身を投じる。

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 しかし、次元を往来した先のパラレルワールドのような別次元の世界には、そこに住むもう一人の自分がいた。また、別の宇宙では別のアイデンティティとして生きていて、心も体も全く違う。例えば外見も、髪を後ろで結っていたり、ショートヘアーで青色のマントだったり、ロングヘアーにひげ面だったりするのだ。そして目の前に現れるのは、元恋人のクリスティーンや、かつての兄弟子であり袂を分かった、謎を秘める魔術師・モルド(キウェテル・イジョフォー)ら懐かしい面々。はたして彼女、彼らは、今は敵なのか味方なのか……。

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 監督は、MCU初進出のサム・ライミ。トビー・マグワイアがピーター・パーカーを演じた『スパイダーマン』シリーズを大成功させ、ヒーロー映画の一つのスタイルを作った彼の監督デビューは、1981年の『死霊のはらわた』だった。史上最高のカルト・ホラー映画で、興行的にも成功したインディペンデント映画としてファンも多いこの作品。そのファンへの大サービスもあって、サム・ライミらしいMCU監督デビュー作となったこの映画は、絶対に大画面の映画館で観てほしい‼ そのために今作は2D、3D、4DX、MX4D、IMAX3Dなど、楽しみ方のセレクションも多彩に用意されている。

 主演のベネディクト・カンバーバッチは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021年)で今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、2月にはハリウッドの殿堂入りも果たした。イギリスの俳優なのにアメリカ訛りが完璧であるなど、細かいことにもこだわったキャストやスタッフの頑張りは、2008年の『アイアンマン』からスタートしたMCUシリーズのクオリティーを確実に上げてきた。そして次回作も……と、今後への期待は果てしなく広がるのだ! (増井孝子)

※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオdeショー!』、「おたかのシネマdeトーク」より