今年4月から放送を開始したラジオ関西の情報番組『Clip』。月曜日のメインパーソナリティを務めるシンガーソングライターの近藤夏子さんは、音楽活動のみならずテレビやラジオなどで幅広く活躍しています。

 最近は話す仕事も多いという近藤さんに、シンガーソングライターとして、曲作りに込める想いや尊敬するアーティストについて聞きました。

――普段どのように曲作りをされるのですか。

【近藤さん】 もともと曲作りを始めたころは、曲を作ることを習慣づけるための練習も兼ねてメロディばかりを先に作り、そこに歌詞を乗せていました。

でもここ最近は、自分の伝えたいことを曲にすることが多いので、9割くらいの割合で歌詞を先に考えています。

歌詞とほぼ同時にメロディができることも多くて、代表的な曲で言うと『笑ってこぉ』ですね。この曲は、テレビのロケで出会った子どもたちに向けて作った曲なんですけど、「笑ってこぉ」という言葉と同時にメロディができました。

――実体験をもとに曲を作ることが多いのですか。

【近藤さん】 自分の経験をもとに作ることももちろんあるんですけど、人に依頼されたり、だれかの経験したエピソードをもとに作ることも多いです。

たとえば『この世に君が産まれて』という曲は、あるお母さんから依頼されて作った曲なんです。生まれてきたお子さんが脳性麻痺という病気で、そんな我が子に「あなたはとても愛されて育ったんだよ」「たくさんの人に愛されて育ったんだよ」と伝える曲を作ってほしいという依頼でした。母親の経験はないけれど、たくさんの話を聞いて、その家族と一緒に過ごさせていただいて作った、とても大切な曲です。

――最近は、SpotifyなどのサブスクやYouTubeチャンネルからヒットした楽曲も多いですよね。これまでのCDを購入していた形から、サブスクで聴くのが主流になってきた今、曲作りをするうえで意識していることはありますか。

【近藤さん】 最近は「イントロはできる限り短めにしてほしい」とか、「TikTokで使用したいので15秒くらいで完結する曲にしてほしい」という依頼は多いです。

サビから始まることで説得力が増したり、SNSでいろんな音楽に触れられたり、メリットもありますが、音楽が消耗品のようになっているのは少しさみしく感じます。

長いイントロや間奏のギターソロは飛ばされてしまうと聞きますが、作り手としては、イントロや間奏にも想いを込めていますし、イントロも含めての一曲なので、飛ばさずにちゃんと聞いてほしいなと思いますね。

現在の音楽シーンとは対照的に、昭和の歌謡曲や90年代の楽曲は、浸れたり、口ずさみたくなるイントロが多かったですよね。私はその時代の音楽が大好きなので、今の時代に合わせて作り手があえてイントロを短くしたりするのは、少し残念でもあります。

ただそれも今のトレンドでしかなく、数年後には長いイントロとかギターソロが復活するんじゃないかと思っています!

いろんな音楽を聴ける時代になって、聴き手もシビアになっています。たとえイントロが長くても、いい曲であれば受け入れられるように、いつか作り手が作りたい曲を作れる時代がくると思います。

――曲を作る立場から見て、この人はすごいと思うアーティストはどなたですか。

【近藤さん】 う〜ん、いっぱいいるのですごく難しいんですけど、作詞に関しては、DREAMS COME TRUEの吉田美和さんですね。美和さんに勝る人は後にも先にも出てこないんじゃないかと思います! ディティールの細かさと作り出す言葉が秀逸で、時代をちゃんと描いているんですよね。

たとえば、『未来予想図Ⅱ』の「ブレーキランプ5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン」という部分なんて、この曲をもとにみんなが真似するという現象が起きるんですもん。天才ですよね!

『うれしはずかし朝帰り』も、誰しもが経験したことのある出来事をうまく切り取って共感できたり。そうかと思ったら『何度でも』のように、シンプルな言葉でみんなを元気づけられる詞も書ける。本当に尊敬しています!

作曲に関しては、広瀬香美さんがすごいと思います。たとえば『ロマンスの神様』は、高いキーから低いキーになって、また高いキーに戻るというのを繰り返しているんですけど、リズムとかメロディーの緩急のつけ方が素晴らしいんですよ。

しかも、感覚で作っているのではなく、ロジカルに、計算し尽くして作っているそうです。それを聞いたときには「さすがだなあ」と感動しましたね。

最近のアーティストの方々のなかにも、素晴らしい作り手がたくさんいます。やっぱり彼らの作る音楽にも、90年代とか昭和の歌謡曲に影響されている部分は多いと思いますし、音楽は受け継がれているのだと思います。