明治時代半ばに日本に登場した自動販売機は当初、切手・はがきの販売を行っていた。いまや飲料を販売する自販機は全国で約240万台に増え、熱中症予防や、夜道の明かり確保の観点などから、その有用性が注目されている。自販機の機能に着目すると、時代背景を反映したトレンドの宝庫であることに気が付く。

■「手を使わない」自販機は、新型コロナ対策にも

 ダイドードリンコ(大阪市北区)は10月から、「足操作自動販売機」の実証実験を始めた。新型コロナウイルスの影響で多くの人が触れるものに抵抗感のある人が増えたため、商品選択ボタンなどに触らずに操作できる自販機を開発。商品サンプルの下にボタンがなく、取り出し口の下のボタンを足で操作する仕様となっている。商品を取り出す際には備え付けのペダルを踏むと取り出し口のふた(フラッパー)が開くほか、支払いは電子マネーに対応しており、可能な限り接触を防ぎながら商品を購入できる。

足で操作する自販機の実証実験が始まった(提供:ダイドードリンコ株式会社)
足で操作する自販機の実証実験が始まった(提供:ダイドードリンコ株式会社)

 また、NECの顔認証技術を活用して、顔認証による購入が可能となる「顔認証決済自販機」の実証実験も始めている。日本で初めて、「手ぶら」で飲みものを購入できる仕組みを実現。オフィスや工場などで財布やスマートフォンを持ち歩く必要がなくなるかもしれない。利用者は、スマートフォンなどを使って事前に顔画像やクレジットカード情報、パスコードを登録する。自販機で購入するときには顔とパスコードの2つを認証することで商品が出てくる仕組みだ。

 なお、上記のような実証実験が行われているのはダイドードリンコの本社や東京本部などで、現段階では関係者のみしか利用はできない。

■自販機でマスクなど公衆衛生用品を購入可能に

 また同社は商品選択ボタンなど、自販機の接触部分にコーティング剤(抗ウイルス剤)を塗布した「抗ウイルス対応自動販売機」の展開を8月中旬から始めているほか、自販機によるマスクなどの公衆衛生用品の販売を10月下旬から始める。販売する商品は「不織布マスク(2枚組)」と「除菌ウェットティッシュ(10枚組)」で、価格はそれぞれ税込み200円。ビンに入った状態で出てくるという。

自販機で「不織布マスク」と「除菌ウェットティッシュ」が200円で手に入る(提供:ダイドードリンコ株式会社)
自販機で「不織布マスク」と「除菌ウェットティッシュ」が200円で手に入る(提供:ダイドードリンコ株式会社)

 同社のコーポレートコミュニケーション部の担当者は「コロナ禍での公衆衛生意識の高まりにより、自販機に対する見方も変化しています。安全・安心に商品を購入いただくため、今後も様々な取り組みを行っていきます」と話している。

■緊急時にも役立ちます

 街角で事故や事件に遭ってしまい110番や119番に通報するとき、自分がどこにいるのか、住所がわからなければ困る。2005年から自販機に「住所表示ステッカー」が貼られ始め、道に迷った時や緊急時などに確認できる。また、災害時に自販機の中の商品を無料で提供できる機能(フリーベンド機能)を備えた地域貢献型自販機が導入され始めており、「緊急時の水がめ」になる。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震でこの機能が役立った。また、購入代金の一部が環境保全やさまざまな支援活動に充てられる“募金タイプ"の自販機もある。

フリーベンド機能を備えた自販機
フリーベンド機能を備えた自販機

※ラジオ関西『PUSH!』2020年10月15日放送回より