芸術文化と観光が学べる「芸術文化観光専門職大学」が来春(2021年春)、兵庫県豊岡市に開学する見通しとなった。1学部1学科で国公立大学として初めて本格的な演劇を学べる大学となる。

「芸術文化観光専門職大学」の全体外観(学舎及び寮)
「芸術文化観光専門職大学」の全体外観(学舎及び寮)

 但馬はコウノトリの郷、ジオパーク、神鍋高原など豊かな自然と、明治期より文豪が滞在制作した城崎温泉、兵庫最古の芝居小屋「出石永楽館」などの芸術文化拠点と、もともと観光資源に恵まれた地域。しかし、日本における観光地の今後の課題は「リピーターをいかに増やすか」。

城崎温泉
城崎温泉

 近年、アジアの中間層が近場の観光地として日本を選択。欧米に関しては東京、大阪といった都市はすでに経験済みというなかで、再び訪れてもらうには「コンテンツ」が必要となる。今や世界の観光地のスタンダードは「昼はスポーツ、夜は(オペラなどの)芸術」。芸術文化観光専門職大学は、但馬が持つポテンシャルをさらに磨きあげ、世界に発信することに特化した大学といえよう。

「芸術文化観光専門職大学」内の実習室(1年次に全員がコミュニケーション演習を履修。実践と理論による対話的コミュニケーション力を養成)
「芸術文化観光専門職大学」内の実習室(1年次に全員がコミュニケーション演習を履修。実践と理論による対話的コミュニケーション力を養成)

 そこで、世界を視野に入れた地域振興戦略に欠かせないのは「コミュニケーション能力」である。同大学では平田オリザさんを学長に迎え、演劇を単なるコンテンツとしてとらえるだけでなく、コミュニケーションスキルを上げるための手法として取り入れていく。これまで演劇を生涯の職業として想定しづらかった日本のアートシーンにおいて、新しい職業観が備わる機会にもなりそうだ。

「芸術文化観光専門職大学」に設けられる劇場(舞台芸術実習等の本格的な演劇カリキュラムを展開。豊かな感性やコミュニケーション能力を養成)
「芸術文化観光専門職大学」に設けられる劇場(舞台芸術実習等の本格的な演劇カリキュラムを展開。豊かな感性やコミュニケーション能力を養成)

 80人の定員に対してすでに資料請求は4000に近いという注目の専門職大学。これからの「大学のあり方」を問う意味で、今後興味深いロールモデルとなりそうだ。

井戸敏三兵庫県知事(右) と平田オリザ氏(左)
井戸敏三兵庫県知事(右) と平田オリザ氏(左)